銀座に所用があった帰り、日本橋のTOHOシネマズで、ちょうど
「空海」をやっていたので、観ました。
いつか空海と最澄を小説で書きたいのでその参考に、という
思いもあったのですが、映画は夢枕獏ワールドで史実はむしろ
手袋のようにひっくり返されて、その手袋の手が繰り広げる
妖かしの世界で、ただただお金がかかっているであろう映像を
ぼーっと眺めていました。
原作の夢枕獏さんとは、三田寛子ちゃんの結婚式でテーブルが同じ(秋元康さんは
名札のみで欠席)、お隣だったので喋っていたのですが、
物語は最初から決めて書かれるわけではないとのことで、筆の進むまま
着想のはじけるままに、ということなのでしょう。
上海のテレビ祭で同じ会場にいた中国人スターが出てないかな、と
観ていたのですが、「知った顔」はなかったようです。
しかし、空海は不思議。名もない僧侶がなにゆえ唐に渡り、恵果阿闍梨から
教えを受けられたのか。夢枕獏さんも、案外その素朴な疑問から
物語を発案されたのかもしれません。
余談ですが、日本では遣唐使・遣隋使のことばかり教え込み、遣日使を皆、
知りません。日本は随や唐から学びに来るだけの文化価値のあった国だったのだ、
ということを知っておきたいと思いますね。
鑑真和上なども、仏教を広めに来日されたという印象のみ強いのですが、
日本から得たいものがあったようで、お国には帰っていません。
学びのために海外に居着き、そこで命を終える。私など、孤独にへしゃげ、
出来る真似ではありません。その土地でむろん、濃い人間関係が生じることは
若い頃の長期の海外暮らしで承知はしていますが、私は日本人と日本語に
取り囲まれているのが、幸せです。
TOHOシネマズのマイレージ会員、この間映画が始まるまで時間があったので、
会員手続きをしたのですが、6本見ると無料だそうで、空海はゼロ円でした。
私のずぼらな性格でバッグにちょうど6枚、使用済みチケットがそのまま放置してあったのです。
以降はカードをチケット販売機に差し入れるだけでポイントがつき、7本目は
無料になるのかもしれません。もともとシニア料金(橋爪功さんも使っていると、そんな
会話を交わしたのは「花嫁の父」の時でしたが)で安く見せて頂いているのに、
6作品観たら更に安くなります。
それにしても、このところ映画をまめに観ています。
そうそう、銀座の所用の場所で「ローマの休日」が流れていて、
スペイン広場の階段でオードリー・ヘップバーンがジェラートを食べている
シーンが映っていました。
食べ終わったヘップバーンが、コーンの部分をぽいっと無造作に捨てていて、
そういうことに初めて気づいたので、いささか驚きました、何度か観ているのに。
マナーが緩やかというより、ヘップバーンの次の芝居に移行するのに、
コーンを食べ終わったり、ゴミ箱に捨てに行くまで映しては時間がもったいないから、
という演出上のことなのですが、あまりにもさり気なくスクリーンの外に
素早くポイッとするので(捨てられる本体は映ってはいません)、今まで気づかなかった
のかもしれません。
現在スペイン広場は飲食禁止のようです。
広場の至近の五つ星ホテルがヘップバーンの宿泊ホテルですが、
迷った末、私はそこではなくピカソとコクトーが舞台のための打ち合わせに
滞在していたというホテルのほうを選んだのでした。
脚本家としての目で見ると、随分細部の工夫に気づく「ローマの休日」でした。
待合室で一部分のみ観ただけなので、DVDで通しで観てみたいと思います。
誤変換他、後ほど。