私の原作で、イタリアでオペラ化されたのがあるのですが、何度か上演されているようで、ついにご招待がありました。
もともと飛行機が不得手で、遠距離は強い導眠剤で気絶してから飛んでいたのですが、危なかったこと1度ならず。
もう3,4時間以上のフライトはしないぞ、と固く心に決めているので、その旨
お返事しようと思って、ふと手を止めたのは「5月」とメールにあったからです。
5月のローマかあ。うーん。
元々好きな街なんです。泥棒は多いが陽気だし、人懐っこく日本人に優しいし。
オランダの女王陛下と同宿だったことがあり、好奇心でそのフロアに行ったら
銃を肩に載せた護衛がいて、ジロリと見られ急いで引き返したのでした。
灯(ひ)点し頃、ロビーにいたら夜会服の一段が華やかな波のように入ってきて、目を奪われました。
ご婦人方の夜会服の華やぎはむろんのこと、エスコートの男たちのタキシードの威風堂々と辺りを払う様。
洋服というのは、お尻の位置が高い民族のためのものなのだと、一瞬にして
悟った光景です。
あれに匹敵できるのは和服だよな、そう思って後年アカデミー賞の招待客としてハリウッドで赤絨毯を踏んだ時は、和服で行きました。
最近の若者体型は大丈夫ですが、由緒正しい日本人体型の私は、爾来気が張る場所には和服と決めています。
ただ、三田寛子ちゃんの結婚式披露宴には、タキシードで出ました。
伴侶になる方が梨園のお方、参列の客も和服、と踏んでさすがに
気後れしたのです。生まれ落ちた時から和服を着ている人たちの
中に和服では出られません。
今だと少し着付けに慣れたし、蛮勇を振るって和服で出るかもしれません。
どうせ、素人でござんす、お許しなさって、と目で周囲に訴えつつ、
謙虚な物腰で。ー笑ー
お隣が夢枕獏さんで、「陰陽師」の執筆のことなど聞けたのは僥倖でした。
もう一方のお隣が、AKBを仕切っていらっしゃる‥‥‥・秋山さんでしたが、
最後まで現れず、ドタキャンはその当時も繁忙の極みであったのでしょう。
行こうかな、ローマ。
ローマの劇場で、自分が書いた物語が上演されているのを和服で見る。
ちょっと、いいかな・・・・と揺れ始めているのでした。