本日午後、三田佳子さんから電話があり
明日が初本番、不安で仕方がない、と訴えられるので
「スタジオまでご一緒して、付き添ってましょうか」
と申し上げたら、「かえって緊張するから、いいわ」。
あんな大女優さんが、新人のように緊張なさっているのは素敵な
ことだと思う。演じるということに本意気でかかるというのは、
そういうことなのだろう。緊張し、不安になるというのも
才能の一つであると私は思う。
越路吹雪さんがステージの袖で震えていらした、と聞いたことがある。
以前、3度目の朝ドラを書いた時某銀幕のスター女優さんが
配役候補に上がっていて、マネージャー氏、制作会社の方、
演出家と3人が拙宅にいらしたことがあり、
出演条件として出されたマネージャー側の要望が、
「◯◯の面倒を見て欲しい。本番の後はお茶など一緒してやって」
ということであり、私は憮然としてお断りし、その大女優さんの
出演はなくなったのだったが・・・
今にして思えば、なんと大人げない、スター女優の扱いも
心得ない青二才めが、と自分を罵るのだが、
朝ドラは24時間書き続けているかのような過酷な現場であり、
当時体力も今ほどなかった私としては、執筆以外に
いわば女優さんの「お守り」など、とんでも・・・という
ことだったので、致し方なかったのではあるけれど、
ものは言いようで、今なら出演まで持って行けたかも
しれない・・・と思う。
私はその女優さんの、昔からのファンではあったのでお茶など
願ってもないので、そのむねお伝えしてご本人に会った上で
「いつも会っていたいけど、執筆が朝ドラは過酷で、たまにしか
会えず残念」と、そのままをお伝えすればよかったのだが、
朝ドラ執筆の過酷さは、それまで2度の経験で身にしみて
知っていたので、いきなりプライベートで◯◯と付き合ってフォローして、
と出演条件として言われ、幼くムッとしたのだった。
その女優さんとはその交渉の前にデイナーショーの席で、お隣に座り
それがあって、ふと出てみる気になったようで、
多分私の何かを気に入ってくださったのだ、と
今にして思う。なので悪いことをしたなあ、とその女優さんが
画面に映ると、苦く思い出すことがある。
これも今にして思えば、なのだが銀幕のスター女優さんらしいわがままで、
可愛いことだ。
そういう意味では、「緊張するから来ないで」と言ってくださる
三田さんは、私にはとても楽な女優さんなのだ。
誤変換他、後ほど。