他人事を「ひとごと」ではなく「たにんごと」と読むのが
定着して来つつあり、半ば諦めながら個人的には
気色の悪い思いをしていることは何度か書いた。
ああ、これでもう世の中は決定的に「たにんごと」採択だなあ、と
思ったのが、警視庁振り込め詐欺被害防止アドバイザー、タレント
コロッケが防止呼びかけのVTR中「たにんごと」と
言っていたのを観たからだ。
こういう公的パブリシティの中でさえ用いられるように
なったら、万事休す。
言葉も生き物、時代により変わるもの、と潔く
諦めるが、個人的には「たにんごと」は使わない。
「ひとごと」と言い続けるだろう。
ひとごとの読み方が熟字訓であり、たにんごとという
読みもあながち間違いではないと
擁護する向きもあるが、そもそも「たにんごと」という
言葉は存在していなかった。
戦前は「人事」と書いてひとごとと読ませていたのが、「じんじ」と
混同するので、「他人事」という表記にしたらたにんごととして
読まれるようになったという説を見たことがあるような
気がする。現在ではマスコミにおけるひとごとは「ひと事」と表記するそうで「たにんごと」はアナウンサーは用いないそうだ。
私のように諦念に走るのではなく、一言をと思われるなら
警視庁生活安全課宛にどうぞ。
それで余計なことを思い出してしまったが、随分昔、朝日新聞の
コラムに言葉の間違いではなかったが事実誤認があったので、
電話したら女性が出て「そのコラムは社の担当ではなく、下請けプロダクションの仕事です」とイラッとしたらしい声音で答えられ、びっくりしたこと
がある。「それを載せた本体の責任はあるでしょう?
間違った報道をしたことに、お宅は責任を持たないのですか?
読者から指摘されたら、まずはお礼。次に”プロダクションのほうに
早速伝えます”がお答えだと思いますが?」と今なら言ってあげる
根気があるが、若かったのでびっくりしたまま切った。
警視庁の生活安全課が言葉の誤用を指摘され、どう反応するか
実は興味がなくもない。