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Channel: 井沢満ブログ
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さらば平成

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「天皇陛下在位30周年奉祝記念式典」の委員を仰せつかり、
わたくしごときがと逡巡した末にお受けしたのだが、本日を以て
完全にお役御免。
委員として何も出来なかったに等しいが、以下は奉祝式典に向けて
寄せた拙文である。関連誌に発表されてから日が経っていること、
今日でお役目を完了したこともあり、こちらでわたくし
個人のけじめとして公開しておく。

 

両陛下には、宮内庁の雅楽の演奏会でお目にかかっている。それも思わぬことに行き帰りに二度。 直接お言葉を賜ることはなかったが、目の前七十センチほどの至近であり、黙礼でご挨拶を させて頂き僥倖であった。
古来より日本というこの美しい扇の要に、常にいらしたのが天皇陛下である。四方を 海の要塞に囲まれた日本は、外敵に攻め込まれることはなかったが、 内なる戦は幾度も経験してきた。それでも我が国がバラバラにならずまた敗戦の 灰の中から不死鳥として蘇ったのも要におわす天皇陛下のご存在のゆえであろう。

皇室はまた日本の伝統文化の要塞でもあらせられた。日本語を含めた日本の美と 礼儀作法、倫理の担い手であったのが従来は天皇陛下を頂点とする皇族の 方々であった。
また天皇陛下はあらゆる災厄よ我が身を通せ即ち「過度我身」という お覚悟で国と民との安穏を祈られて来た。 四方拝における呪である。 日出ずる国の天子としての勁い誇りとお覚悟あらばこそ。
愚見だが神道はいわゆる宗教ではない。教祖も経典も持たぬ。古代の日本人たちの霊的インスピレーションに よって得た「神との結びの道」であり我ら日本人の背骨である「精神」に他ならない。 その頂点であり道標が、古来より天皇陛下であらせられた。 「現人神」という言葉は敗戦により潰え去ったが、今なお 天皇陛下は日本の神々とつながり祈る「祭祀王」で あらせられる。

皇居より祭祀が途絶えた時、いかなる災厄に日本が 見舞われるか。非科学的と謗る向きもあるやに思われるが、 よく保たれた神社内、なかんずく伊勢神宮に漲りわたる 神気をありありと体感する者であれば、日本という国体にとって 祭祀がいかほど重要な霊的位置を占めているか、半ば 本能的に察知するのではないか。
その祭祀もGHQにより「私的行為」としてその地位を 引きずり降ろされたが、鎌倉時代に順徳天皇が「禁秘御抄」において 「凡そ禁中の作法は、先ず神事、後に他事とす。旦暮敬神の叡慮懈怠無し」と記された如く、 天皇陛下のご存在理由が最大唯一と言ってもよいほど祭祀にありと断じても差し支えなかろうと思われる。 その余のことは些事、ひとえに祭祀をとわたくしは順徳天皇のご遺訓として胸に刻んでいる。
わたくしどもは皇室における祭祀と伝統の重要性を、このたびの天皇陛下御在位30周年記念を契機として改めて見つめ直したい。 日本の祈りと伝統の堡塁としての皇室の弥栄と、 営々と守り抜いた男系皇統のつつがなく後世へとつながることを祈り奉る。

 

 


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