三田佳子さんのディナーショーに出かけたのが、金曜日の
夜のことである。
三田さんに敬意を表して誂えたばかりの白い皮草履に、
これもおろしたての大島紬。鮮やかな紫の長襦袢も新品。
ということで、着物好きの人たちのために画像を載せようと
デジカメで収めたのだったが、何ということ買ったばかりのカメラの
電源スイッチが壊れて、アップできず。
よくせき、私は機械との相性がよろしくないようだ。
ディナーショーでは、同じテーブルの方々が和服に興味を示して下さり、
それが話しの糸口にもなった。
女性たちの衣装が華やかで目を楽しませてくれたが
残念なことに、和服は無し。
男性連は黒っぽいスーツばかりで、これもちょっと残念。
三宅イッセーさんが来ていらしたが、こちらはさすが。
同じテーブルには電通のどなたか、多分トップだと想像されたが
(詮索は失礼なので確かめていない)、その未亡人がいらしていて、
二連の見事な真珠のネックレスの間に、キラッキラッと光る粒は多分ダイヤ。
珍しかったのでつい話しかけたら、指輪も見せてくださった。
大ぶりのサファイヤをびっしりと、小粒のタイヤが取り囲んでいるのである。
お衣装は三宅イッセーの最新作だという、シルバーグレーのドレスである。
そうこうするうち、水谷豊さんが近くを通りかかり、立ち止まって
会釈をくださったので(初対面である)
「相棒のファンです、よく拝見しています」
と言ったら、肩をハグしてくださった。
あの年代の方にしたら、とても小さな顔をなさっている。
ショーの途中で、テーブルを一個ずつ三田さんが回っていらして、
三田さんともハグ。
華やかな男女のハグで、気持ちに花が咲いたせいか、隣の
ご夫人に「お若いのに、お着物がお似合いですのね」
と言って頂き、
「いいえ、若くはないですよ」
そう申し上げたら、
「でも、せいぜい三十歳でしょう?」
思わず、ワインを吹き上げるところであった。
そのことを知人に言ったら、
「そりゃあんまりというものだ。お世辞も度が過ぎる」
と鼻先であしらわれたが。
日曜日には上野公園までお花見に出かけた。
路に迷い尋ねた相手が、たいそう美しい若い女性で、丁寧に
教えてくれ、更に近寄ってきた青年が言葉を添えてよりわかりやすく
道筋を説明、この青年も美しかった。
美女、美男と続けざまに見て、心が浮き立った。
美しいということはいいことである。しかも心根までいいと本当に嬉しくなる。
ふたりとも言葉のアクセントからしたら、日本人ではないかもしれなかった。
こういう美しく気立てもいい人たちが来てくれるなら、他民族共生にも
文句を言わないのだが。
古来、日本はおおらかに異国人を招き入れ、招かれたほうも
日本という家の家風を尊重、溶けこんでいつしか日本人になっていった。
こういう形でなら、異邦人に来て頂いてもちっとも構わない。
困るのは日本になじまぬまま、日本のよきところを壊されることである。