いつか書くか、書かぬか解らぬ本のための、文体探しを兼ねたシミュレーションを
今日もやろうと思います。
本日のテーマは「日本国憲法はGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)からの押し付けであったのか?」ということです。
戦後ほどない頃に、教育を受けた者ですからあの時代の自虐史観の風は
浴びていて、しかし幸いだったのは、それほどそこを強調する先生には
巡り合わずに済んだことです。
しかし、関心のないことには徹底的に無関心だった、いびつな脳の子でしたから、
何か言われても、耳元を吹き過ぎていただけのことかもしれません。
ただその中に、後年非常に影響を感じる先生が高校にいました。
染谷(そめや)先生とおっしゃる、軍隊経験のある浅黒い、渋いイケメンで、
声に張りがありました。
私は日本史の点数がよかったので、可愛がってもらいました。
ただ日本史も腹から理解していたわけではなく、暗記が得意だったので
試験前に教科書を覚えて、答案用紙に書き込む端から急拵えの知識は
忘却の霧の彼方に後ろ姿を見せて消えてゆく、呼べど叫べど、
ああもう戻っては来ない人、という演歌のような対象が日本史なのでした。
染谷先生が始終口にするのが「憲法はアメリカから押し付けられたんだ。日本が本当に
自主独立するためには、改正しなきゃならんのだ!」
響きのいい声で、熱を込めて語り高校の制服である詰め襟を着た私は
(また、言ってら)と思いつつ、表面は神妙に染谷先生の独演会を
聞いていたのでした。
染谷先生の定番の文言は、「日本は憲法は変えねばならぬ!」
と言った後、私をキラリと見るのが常でした。そして、指名するのです。
「なぜだ?」と起立した私に訊き、私は「アメリカからの押し付け憲法だからです」
と答え、すると染谷先生は「そうだっ」と深く頷くのが、儀式だったのです。
いつも、私をご指名でした。
高校を卒業するとほぼ同時に私は染谷先生のことも、憲法のことも忘れ去りました。
ただ、一種のえこひいきをして頂いていたな、と
そんな思い出し方をしていました。
もう一人、可愛がられたのは英語の先生でこれも、まあ成績がよかったからです。
ちなみに、私は日本史と英語の二教科で模試を受けると、全国でトップクラス、
それに化学や数学が入ると全国どころか学年で、最下層というようないびつな
生徒でありました。
それにしても、教育というのは大事だなと思うのは、ずっと忘れていた憲法改正のことを、
いきなり染谷先生の声で思い出したのは、六年ほど前のこと、自民党から民主党に政権が
変わった頃です。
日本のことを幾らか真面目に考え始めて、初めて染谷先生のおっしゃることの
意味を理解したのですが、教育というのはそういうことなのかもしれません。
種まきです。遅咲きであれ、種をまかれていれば、芽吹くこともあるのです。
私はいかになんでも、遅過ぎですが。
憲法談義は百家争鳴で実のところ、私はまだこれと断言するだけの域にはありません。
しかしながら紙に書かれた文言に、侵略を防ぐ力があるとは全く思ってはいません。
現に竹島は盗られ、そこにまつわって日本人漁師が殺されたり、4千名近くが
朝鮮半島に拉致され虐待を受け、そして北朝鮮には多くの日本人が連れ去られ、
戻っては来ません。
また平和憲法で他から侵略を受けぬなら、なぜ各国莫大な費用を軍事費に回すような
ことをせず、平和憲法を持たないのですか?
70年という長きに渡り、平和憲法を持っているのは、なぜ日本だけなのですか?
何とか侵略を受けずに済んでいるのは、実は九条のおかげではなく、アメリカの
核による抑止力、要するに恫喝力ではないのでしょうか。
と、私はこんな素朴なことしか言えません。憲法に関しては不勉強だと告白
せざるを得ません。
しかし、一つ端的に言えることがあります。憲法が押し付けか、押し付けではないかという
議論に対しては、端的に押し付けですと言える根拠があるのです。
それは、GHQが日本のマスコミコントロールのために作成したプレスコードの存在です。
http://www.lib.umd.edu/prange/about-us/civil-censorship-detachment
江藤淳氏の調べによると、次の30箇条です。アメリカ国立公文書館で見つかった資料「削除と発行禁止のカテゴリーに関する解説」によります。
2 極東国際軍事裁判批判
3 GHQが日本国憲法を起草したことに対する批判
4 検閲制度への言及
5 アメリカ合衆国への批判
6 ロシア(ソ連邦)への批判
7 英国への批判
8 朝鮮人への批判
9 中国への批判
10 その他の連合国への批判
11 連合国一般への批判(国を特定しなくとも)
12 満州における日本人取り扱いについての批判
13 連合国の戦前の政策に対する批判
14 第三次世界大戦への言及
15 冷戦に関する言及
16 戦争擁護の宣伝
17 神国日本の宣伝
18 軍国主義の宣伝
19 ナショナリズムの宣伝
20 大東亜共栄圏の宣伝
21 その他の宣伝
22 戦争犯罪人の正当化および擁護
23 占領軍兵士と日本女性との交渉
24 闇市の状況
25 占領軍軍隊に対する批判
26 飢餓の誇張
27 暴力と不穏の行動の煽動
28 虚偽の報道
29 GHQまたは地方軍政部に対する不適切な言及
30 解禁されていない報道の公表
青文字にした箇所で、私が言わんとする所は解るでしょう?
GHQ自身が、憲法の起草はGHQ(アメリカ)であると認めていますね。
また、まだ二十代初期のユダヤ系女性、ベアテ・シロタ・ゴードンが混じっていたことも
事実です。人の国の憲法起草に、二十歳そこそこの女性とは、小馬鹿に
された思いもないではありません。
プレスコードの第三番目を上げたことで、私の今回の主張は終わってしまいましたが、
非核三原則は私は、危険だと思っています。
「いつでも、持とうと思えば持てる状態」の保持が、防衛には必要ではないだろうか、と。
原発は最終的には廃絶されねばならぬものですが、しかしながら韓国に原発が
あるうちは、原発事故の危険性が消え果てるわけではありません。
決して盤石とは言えない韓国の原発のほとんどは、日本海側に面して
建てられているので、いったん事故があれば放射能は偏西風で九州や、四国に
吹き寄せて来ます。
対馬と釜山との距離のほうが、福島東京間よりは近いのです。
原発廃止は世界で、少なくとも日中韓でせーので止めない限り、日本だけ
止めて、安全が保てるわけではありません。
原発の是非論で言うなら、私も「非」でそんなことは何十年も前から言ってますが、
拙速な廃止は国力の極端な低下を招きます。
それと、大事なのは原発を廃絶すると日本は、核のハンドリングの技術まで
失ってしまうのです。
ハヤブサを開発する能力のある日本が、いざ核を持ったらこわいぞ、
いつでも持つぞと周辺国(というより中韓北朝鮮ですが)に思わせておくだけでも、
抑止力にはなっているのです。ハヤブサはピンポイント攻撃の兵器に、
技術転用可能でしょう。こういうことを言うと、「え?」と驚かれるかも
しれませんが、日本を標的にしている国々では、当然そのような
発想で日本を観察していて、そのことじたいも抑止力の一端ではあるでしょう。
侮れないぞ、と。
というわけで、私は非核三原則に対しても、自らわざわざ放棄を宣言することも
ないだろうと思うので、反対なのです。核を捨てたから、どこも攻めて来ないか、
というと、それはあり得ないからです。いやむしろ逆なのではないですか?
核保有のアメリカが背後で睨みをきかせているので、侵略の不安を
さほど持たずに済んでいるだけのことではなかろうかと思うのですが、
どうでしょう。
日米安保も盤石ではありません。アメリカも自国を核の危険性にさらしてまで、
日本を守ってくれることはしませんから。
平和憲法を日本で褒め称えるほど、各国が賞賛していますか?
腹の中で、ある国々からはほくそ笑まれているような気がしてならないのですが。
核を持てとは言わぬけれど、持つ気になればいつでも持つぞという気概、知識と技術の研鑽は、自国を守るためには必要ではないか、と今日の結論はそれです。
マスコミも、元GHQメンバーのベアテ・ゴードン女史を「憲法の母」と持ち上げているので、
とりあえず現憲法は「GHQ作」と認識してもよさそうな?
どうですか?