固い息苦しい話題が続いたので閑話休題。
やや古い映画ですが韓国の「王になった男」を見ました。
韓国内の賞を総なめしているようですが、当然でしょう、秀作でした。
ただ、韓国の時代劇は考証ガン無視でひたすら華麗に描くので
まあ、そこは「ふふふ」と見ていたわけですが、
イ・ビョンホンがよくて、よくて。
随分前、まだ韓流などという言葉も日本になかった頃、頼まれて
韓国映画のパンフレット用の文章を書いたことがあります。
思えばそれが初めてか、初めてに近い韓国映画体験でした。
その時の主演がイ・ビョンホンだったのです。
繊細で、しかし力強い演技をする男優だということで
印象に残っています。
そういう意味では、スケール感も含めてコン・ユに似通うものを
感じます。
イ・ビョンホンはハリウッドに進出していますが、あのスケール感なら
当然だろうし、コン・ユもなめらかな英語を話す人なので
ハリウッドは目前ではないかなと思います。ただ、こういうの
タイミング次第ですけどねえ。
日本で組んでやりたいのですが、今の日本の雰囲気ではちょっと・・・・・。
企画が通らないでしょう。・・・・・って、自分がさんざん韓国を
普段批判しておいて、言うのもなんですが、韓国を全否定している
わけでないことは、再三表明しているとおりです。
自分が関わる映画やドラマの分野では、敬愛する創り手たちがいます、
俳優監督シナリオライターを含め。
フィクションを通じた感性は共有出来るものが多いので、人種が
それほど隔絶して異なるとも思わない・・・・そういう意味では
世界共通のメンタリティも大いにあるわけですが・・・・・・
こと政治外交が絡むと、あたかも相手はエイリアンです。理解不能。
いえ、いくらか韓国を学びその基礎的精神構造を知ってくると
謎というより、相手の進化を待ちましょう・・・・という気分になって来るのですが。
でも、解っている知性的な一群はいます。大きな声に束ねられないだけで。
そのことにいくらかの希望はあります。
永遠に分かり合えないとまでは、思っていません。
でも、あと500年程度は無理でしょう。
それに、あちらさんは千年間恨みを忘れないそうなので、それを
言ってる間は無理。相互理解は無し。
映画に話題を戻すと、「王になった男」で世界共通で感動を
分かち合える部分がほとんどだったのですが、やはりこの
感性は韓国独自だなあ、と思わせるのが排泄シーンで、
イ・ビョンホンという、こんな端正な男をおまるにまたがらせ、
排泄を描くのです。大きな音声付きで。
漫画的に音を入れると、
びびぶばべべ、ぶ、じょー。(失礼しました)
何人もの女官が平伏する中、用便が済むと女官たちは
「おめでとうございます!」と、声を揃えて祝福するのです。
そういえば、コン・ユも何かのドラマで便器に座らせられていました。
韓国で私が一番好きなコメディエンヌ、キム・ヨナにいたっては
長い便秘設定での、トイレシーンがありました。
排泄に対する感覚が、ちょっと日本人とは異なるようです。
「王になった男」では、王の健康状態を宮廷医師がチェックするのに、
あの有名な「嘗糞」つまり、匙で便をすくって舐めてみる、をちゃんと
描いていました。
ファッション含めたカラフルな華麗さの嘘以外は考証的には、中国の万年隷属国であったことも
描いていたし、何よりストーリーテリングと心理描写の妙で、掛け値なしの傑作です。