報道が全て日蘭友好一色なのに呆れている。
友好は無論いい。
しかしその友好の美名の影に隠されたオランダの日本への悪意に
ついてどこも触れないのが、相変わらずである。
私達は光の面だけではなく、影も併せ両方の面を知っておきたい。
といって、私がさして日蘭の歴史を知っているわけではなく、
たまたま読んだ週刊新潮の高山正之氏のコラムで
ぼんやりとしていた知識を明確にしたり、思い込みの部分を是正して
貰ったりしたにすぎないのだが。
私が頭から冷水を浴びせかけられたのは、新国王来日に先駆け
現れた外相ティーマンス氏の言葉で、
「慰安婦も河野談話も生きている」
「今後も両国の高官会議では、常に慰安婦問題を提起する」
大して話題にならなかったので、わざわざ喧嘩売りに来たのかと思ったのは
私だけなのだろうか。
朝日新聞発の捏造が明らかになって、日本がこれから濡れ衣を
晴らそうかという時に顔面にいきなりパンチを食らわすごとき発言で、しかも新国
王来日前なのであるから、恐れ入る。
友好だけじゃないんだぞ、という良く言えば牽制、悪く取れば脅しである。
外交はむろん飴と鞭の双方だが、しかし従軍慰安婦を使うのは
甚だしいルール違反であろう。
以下色文字は抜粋。
オランダ外相「河野談話の継承、日本の意向支持する」
ハーグ=梅原季哉
オランダのティマーマンス外相は3日、第2次世界大戦中に日本軍が占領した旧オランダ領東インド(現インドネシア)での慰安婦問題は、「強制売春そのものであることには何の疑いもない、というのが我々の立場だ」と発言し、慰安婦問題を巡る謝罪と反省を表明した河野談話について、見直しを求める日本国内での動きを牽制(けんせい)した。
ハーグの同国外務省で、日本メディアを対象にした記者会見で発言した。
ティマーマンス氏は、「河野談話は、この問題に関する両国間の対話の良い前提となってきた。我々は、日本政府が河野談話を継承する意向であることを完全に支持する」と表明。
飾り窓の女がいる、そういう意味では韓国と並ぶ売春の盛んな国なのに
何を言うか、と言い返したくなる。
私が危惧するのは、これはオランダに限らずと言ってもまあいいけれど、
外交上で勝ちカードを得るには、嘘までつく国はあるので、
オランダもそうである。
いわゆる戦犯として処刑した数もオランダが一番多いし、
中には明白に無実のお方もいらっしゃる。
あまりの理不尽さに高松宮様が、ユリアナ女王に助命嘆願を
申し入れたが、女王は聞く耳持たず。
昭和天皇のオランダご訪問時には、お車に生卵と鉄製の
湯たんぽが投げつけられ、崩御された時に王族が来ない無礼を示したのは、
オランダだけである。それは忘れまい。
日本の皇太子妃への親愛が伝えられ、それは国民として有り難いことであるが、
しかし日蘭の過去を振り返るに、それが「恩売り」の取引きカード、
もしくは激しい反日のバランス取りに利用されているのかもしれぬ、という
醒めた視線も確保しておきたい。
それが事実であろうとなかろうと、である。
あちらは国の利益確保のために、王族も積極的に政治発言をなさり
必要があればある意味の嘘さえ辞さぬということは、腹に入れて置きたい。
日本の皇室が特殊な上にも特殊なのであって、あちら王族はもっと
人間臭い。
更にお人好し日本と違って海外は腹黒いのである。
とりわけオランダは日本に恨み骨髄であるのだから。
大航海時代から第二次大戦にかけて、海外領土を持つ国であった
オランダが現在はカリブ海の島嶼を残すのみで、これは
日本のせいである、とあちらは思い込んでいる。
ベアトリクス女王来日の際には、今上天皇主催の晩餐会の席で
オランダ人捕虜や抑留者が過酷な扱いを受けたとスピーチ。
晩餐会の席で、である。
そして、「お国ではあまり知られていない歴史の一章です」
と、いやみったらしく付け加えたのであるが、たぶんにこれも
言いがかり。
オランダ人捕虜の扱いについてはもう少し勉強してから
発言するが・・・・・・今持っている知識内では、どちらかというと
賠償金を得るための言いがかりに近いと私は思っている。
事実女王のこの発言の後、日本からオランダへ賠償金が支払われた。
高山正之氏は「新国王も、宮中晩餐会の席上でカネを要求するだろう」
と書いていらしたが、カネはいざ知らず、やはり戦争被害に関しては
言及して、言うからには目的があるので、わざわざこれを言いにいらしたのか、とさえ思う。
宮中晩餐会の席である。
華やかに日蘭友好を謳い上げるマスコミであるが、晩餐会も
外交の修羅場でもあることを、私達は心得ておきたい。
オランダの、相当悪辣な反日ぶりに関してはまだあるが、
現在の友好モードに水を差す意図は全く持ち合わせていないので
これ以上言及はしない。
ただ、お人好し日本人は、とかく一色に染まり、言われたまま
同じ方向を一斉に見る性癖がある。
それは、危険である。
物事は両方の側面を見よう。
ベアトリクス女王が、インドネシア訪問の際(1995年)、
「植民地支配はお互いに恩恵を与えた」
と発言、こんなことよく仰るよ、と仰天するのだが、そういうメンタリティなのである。
だが、インドネシア国民は猛然と反発、女王バッシングにかかった。
日本なら、言われっぱなしであろう。
そして、やられ放題、取られ放題の、いつかきた道をまた歩むのである。
12月に出す小説の校正中ではあるし時間はなく、心が尖るのも避けたいのだが、
つい書いてしまった。
かつてローマで宿泊した時、オテルがオランダの女王陛下と同宿であったことなど
思い出しつつ。
廊下に銃を持った衛兵が佇んでいた。