今朝ふとつけたテレビで、面識のある佐藤正久さんが写っていたので、しばらく
見ていた。宇都隆史さんもそうだが、何度かお会いした人が国会にいると、文字通り政治が身近である。
ドラマを仲立ちに何度か、自民党本部や議員会館も訪れたことがあるから、空気が何となく解りその意味でも臨場感がある。石破さんの防衛論の講義を受けたこともある。防衛を学ぶ先生としては豪華であった。安倍総理とはお食事のタイミングを失して以来ご縁がないが、指呼の間でお話を(一方的に)伺ったことは何度かある。
なので、政治には知識がさほどないが、政治の息遣いはわりに近く感じる。
テレビは参院の国会中継だった。(参院特別委)
安保法制案について、佐藤正久さんが質問をし、安倍総理と、中谷元防衛大臣、岸田文雄外務大臣の三者が答え、要は4人が連携プレーで
新法案の一般的疑問に答える、という形で大層わかり易かった。
参院に移ったことで、今まできちんと説明して来なかった部分・・・・・あるいは
口にしづらかった部分を、もはやふっきってやっと語られ始めた印象。
それもQ&Aで丹念に噛み砕いて説明するという形なので、退屈しないのである。それに字面で読むより、それぞれの人の思いと熱気が、声だと息遣いと共にじかに伝わり説得力が違う。嘘をついても、ごまかしても微妙に解るし。
皆さん今回は、腹で語っていらしたと思う。
北朝鮮と名指しせずA国とし、韓国をB国としてA国がB国に戦闘を仕掛けた際にリアルに何が想定されるかが、四者それぞれの立場から具体的に語られ、興味深くもあった。
それにしても、A国とB国は戦争中なのであって、物見遊山だけで
“渡B”するのも、修学旅行で生徒を送り出すのも相当リスキーだなあ、と
昨今の情勢から思う。(しかしA,Bは使ってみると便利だ)w
A国は、B国を攻撃するためには飛距離の短いミサイルで
大丈夫なのだが、最近の飛距離は明らかに日本がターゲットであり、
ここは不気味ではある。金正恩体制になってからは、やることが
より過激に狂気じみているし。
私の視聴した範囲内では残念ながらC国(文字通りCが頭文字の国である)の
ケースがなかった。やったのかもしれないが、フルに見る時間がなかった。
それにしても、なぜ安倍内閣が法案を急ぐのかシンプルに解りやすかった。
賛否はとりあえず、別にしておくとして、こういう国会中継こそ大事なのに、
見逃した人も多いのではなかろうか。
新競技場に何十億のお金を捨てるより(捨て金は50億ぐらいだったか?)、たとえば政府のパブ番組を提供するなり、民放で国会中継のお知らせをスポットで何度か流すなり、広報すればいいのに、と思った。
それにしても、NHKの国会中継をやったり、やらなかったりの基準が解らない。
私はNHKは余り見ることがないし、とりわけBSは全く見ないまま聴取料だけ
延々と払い続けているのであるが、たとえばBSはいっそ国会中継専門局にしたらどうなのだろう。国会期間外は、妙な解説無しに淡々とニュースのみ
流す。(編集次第で、報道もニュアンスが変わるので、確実な中立というのは、
難しいが、ひとつの方向へ誘導する解説委員やら、色のついたコメンテーターがいないだけでも違うだろう)
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・・・・・・・・報道によると、それまで具体名を出すのを避けていた中国の名を、出した説明になったようだ。
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2550075.html
「我が国を取り巻く安全保障環境はますます厳しさを増しております。東シナ海においては、中国が公船による領海侵入を繰り返しています。南シナ海においては、中国が活動を活発化し、大規模かつ急速な埋め立てや施設の建設を一方的に強行しています」(安倍晋三総理大臣)
ーーーー転載終わりーーーー
より分かりやすい説明になった。要するに、対中国法案(に対北朝鮮を含めた)法案だということであろう。
最初からそう言って欲しかったという意見もあるようだが、総理の立場からすれば、具体的に名を出さずとも、察してくれよというところだったのだろう。
南沙における中国の基地建設を具体的に出して語れば、あちらに手の内をさらしてしまうことにもなるし、名を出さずとも中国が「我が国を仮想敵国扱いするとは」といきり立っていたような状況であったから。
しかし、背に腹は変えられぬということで一歩踏み入った説明になったのだろう。
残る大きな論点は、集団的自衛権が違憲かどうかという判断だが、これは当然違憲とする憲法学者が圧倒多数であろう。
だがしかし、自衛隊の存在も同様であろう。違憲だがしかし必要だから存在している、ということが1つのキーワードになりはしないだろうか。
極端な言い方になるかもしれないが、安倍総理側にしてみれば、結局のところ憲法と国とどっちを護るのかい? ということなのだろう。しかし、よもやそうは言えないので、与野党同じ円周を際限なく、くるくる回ることが、当分続くのだろう。
一方、中国の南沙諸島に建設の人工島は、戦闘機や大型哨戒機が離発着できる軍事基地に他ならないという、のっぴきならない現実がある。
地対空ミサイル(surface-to-air missile)の配置も、なぜそう急ぐのだというほど急ピッチで進められていて、ではそのミサイルの向きはどこを向いている、ということなのだろう。
それに加え、中国紙「環球時報」は「中米両国の南シナ海における交戦は不可避」と載せるほどのあからさまな状況。米国紙もそれに呼応した記事を載せたところがあると聞く。
対米であるが、しかし日本に基地がある以上、局地戦ではあり得ず基地のある日本にも降りかかる、となれば集団的自衛権の是非を論じている場合ではなかろうという意見もあるだろう。米国は日本が加わって護りを同じくせぬというなら、同盟解消の構えだという人もいる。(解消はお互い1年前の通告で、あっけなく出来る)。中国は対米戦より日本を侵略することに主眼があるが、米国抜きに、
日本がやる気の中国と、対等に戦えるかということであろうか。
日本には九条という、そういう意味では大きなハンディがある。
私達は、自衛隊と集団的自衛権の違憲論をしているほどの、猶予があるのかどうかその観点からの発想も必要なのだろう。
これもことの是非はとりあえず置くとして、安倍政権は支持率低下を覚悟の上、捨て身でかかってきている。戦争をしたいとか、させたいとかいう安易な次元にはない。60年安保時の岸内閣を思い出す。あの時は岸内閣の選択が正解であった。