冷えるな‥‥・・と思ったら、てきめん風邪。
熱が出てしかし癌細胞は熱に弱いので、時々高熱は出したほうがいいのだ・・・・
と科学的根拠はいざしらず、そう思っているほうが耐えやすい。
大体一晩で抜けるので、短時間の体内浄化のつもりでいる。
料理やに行ったら、配膳の若い子たちに「ぬる燗」と「人肌」が通じず、熱燗が来たという話を書いたら、皆さんからさまざまご感想を頂いた。
中に「雪冷え」が好みだと書いてきた方がいらっしゃる。そうだ、この機会に
日本酒の温度による呼び名を整理、覚えておこうと思い立ち調べて驚いた。
何と、酒の微妙な温度変化に応じて10も、呼称があるではないか。
雪冷え ゆきびえ 5℃
花冷え はなびえ 10℃
涼冷え すずびえ 15℃
常温 じょうおん 20℃
日向燗 ひなたかん 30℃
人肌燗 ひとはだかん 35℃
ぬる燗 ぬるかん 40℃
上燗 じょうかん 45℃
熱燗 あつかん 50℃
飛切燗 とびきりかん 55℃以上
日本人の舌の繊細なこと。5度の温度差にこだわるか・・・・・
温度の移ろいに、繊細な名称をつけるのが日本人なら、色彩に対しても
同様で「四十八茶百鼠」である。
茶色
枇杷茶(びわちゃ) 芝翫茶(しかんちゃ) 焦香 (こがれこう) 胡桃色 (くるみいろ)・・・など40種類。
鼠色
薄梅鼠 (うすうめねず) 暁鼠( あかつきねず) 鳩羽鼠 (はとばねずみ)など・・・100種類
数えたことがないので、本当に茶の呼称が四十八種、鼠色が百種あるかどうか知らないのだが、それにしても微妙に色のトーンを変えながら、曖昧模糊とした同種色(gradation)に至るまで、目配りする日本人の美的感受性の凄さ。
言語学者ではないので、他国の言語と比べることも出来ないが、文句なしに日本語が突出しているのではないか。オーストラリア人の友人が「英語が世界で最も優れた言語だ」と昔から何十年間言い続けていて、私は反駁するほどの英語力がないので、歯がゆいのだが、英語ごときが笑止である。
英語の一人称に一体何種類の言葉があるか。比べて日本は。
英語のbrownにいくつ、呼び名があるか、と言えば分かりやすいのかも
しれない。
英語はビジネスを、フランス語は愛を語る言語だという。
なら、日本語は美を語る言葉だと言おう。
それにつけても、昨今の若者たちの語彙の乏しさが懸念される。
言葉は単に表現のツールではない。発想の源泉でもあるので、人は考える時、言葉を脳裏に組み立てながら、考え発想している。
ビジネスまで含め、語彙の乏しさは発想の乏しさにも通じる。
日韓併合時代に生きていた韓国の老人は、ちょっと複雑な事を考えるときは、知らず知らず日本語で考える、と聞いた。
ちゃんとした本も読まない読めないこの時代、日本語をさてどうやって守ったらいいのだろう。
お知らせ
憲政記念館内咢堂塾で、今年もまた話をさせていただきます。
http://www.ozakiyukio.jp/gakudojuku/main.html
9月5日(土) 13時半 ~2時間
日本語を素材として、日本をテーマに語ってみたいと思っています。
昨年、聴講希望のコメントを頂戴しましたが、単発受講は出来ないそうです。