知人のマジさんこと、マツケンサンバの真島茂樹さん出演のレビューを見に
行ってきたのが昨日。
築地本願寺内に小劇場があるとは知らなかった。
最小限の物語以外は、歌と踊りだけでみっちり2時間だったが
場面転換が速いのと、これでもかというような絢爛豪華の衣装替えで
飽きなかった。
宝塚にジャニーズよりもうちょっと年齢が上の男が混じったようなショーである。
マジさんの年齢は重大国家秘密に属するのだそうで、存じあげないのだが
頭の上にまで足を跳ね上げて踊る。
客演の峰さを理さんが、華やかで可愛らしくて「いいねぇ」を連発していたら
終演後に峰さんに紹介していただけた。
宝塚に詳しくなくても、峰さを理さんのお名前は聞いたことがある人も
多いのではないだろうか。
往時の宝塚星組トップの男役さんである。といって、私も初めて拝見したのだが。
レビューでは男装、女装(という言い方も変だが)を往復しつつ
男と女の岸の間(あわい)をゆぅらゆぅらしながら、ピーターパンのような
お方だった。紋付きに茶の袴での男舞をサンバのリズムで
踊られたのには目を見張ったが、サンバで日舞を踊ることが
出来るのだと・・・・常に思考感性柔軟でありたい私としては
脳を心地よく撹拌してもらったようで、ありがたかった。
レビューを見ながらしきりに三島由紀夫氏のことを考えていた。
マジさんは日劇のボーイズダンサーだったが、美輪明宏(当時は丸山明宏)
さんと出演している時、美輪さんに楽屋に呼ばれ「マジ、紹介しておくよ」
と引き合わされたのが三島由紀夫氏で、美輪さんに捧げる一抱えの薔薇を
持っていらしたそうだ。
そしてマジさんに「きみたちは、いつもこうして美しい衣装で歌って踊っていられ
ていいねぇ」と言われたそうだ。
それは三島氏の本音だったと思う。
武士(もののふ)としての三島氏も真実なら、綺麗な衣装に身を包んで
まばゆいライトを浴びながら歌ったり踊ったりしていたい、というのも
三島氏であったと思う。
憂国の人々の武士三島由紀夫氏への心酔ぶりは知っているので、
彼らの前では、私は決してもう一つの三島像については口にはせぬけれど。
「三島さんは多面体の方でしたから」という程度で、おさめる。
余計なことを喋って不興を買うのは嫌だし、それに彼らが思い込んでいる
憂国の漢である三島氏も、真実ではある。
男性性も女性性も、双方お持ちの方で、その振幅の幅が
常人より大きく、それゆえにこそ天才でいらしたのではないかと
私は思う。
日劇の美輪さんの楽屋を薔薇の花束を抱えて訪れた、その数日後に
三島氏は市ヶ谷の自衛隊駐屯地で自決された。