世の中に母親を憎む人は案外多いものです。
長引く蕁麻疹を治したくて、今漢方の先生のところに通っていて
随分良い方向に向かっているのですが、この先生は
疾患も「心因性が多い」と主張していらして、お話を
うかがっていると、西洋医学でも最近は心因性のは
病気があることが指摘されていますが、西洋医学が
思っている以上に心因性、心に原因のある病気が
多くはないだろうか、と思います。
霊感もある先生で、私の心の状態は面談2分程度で
さっくり指摘され、実にその通りで大変興味深くそれからの
お話を伺ったのでした。
心因性の病気の大きな原因の一つに、幼児期における母親との
関係性があるそうで、これは私も長年の見聞から
首肯します。
肉体的な暴力を受けなくても、母親による言葉や態度による虐待は、
その子の一生に、暴力を振るい続け精神的、肉体的に
痛め続けます。そして本人も当の母親も、そのことに気づいていない
ケースも多いのです。
また母親自身が、虐待したという自覚がないことがほとんどです。
肉体的暴力があってすら、「しつけ」と自分をごまかしています。
これは信じようと信じまいとのレベルでしかありませんが、
前世で仇敵同士が親子になって、カルマの解消を試みる
こともありそうです。
怪しげレベルの話はともかくとして、子供の頃親により受けた傷は、
大人になっても癒えません。
インナーチャイルドと言いますが、60歳になったところで、
心の奥底で母親に傷つけられ、泣いている子どもは
2歳、3歳、4歳・・・・・・のままなのです。
理性で処理しても、心の奥に隠れている「内なる子」は
いくつになっても、泣き続け救いを求め続けています。
幼児にとって母親は全宇宙です。その宇宙から拒絶され、
ないがしろにされた子は、生涯自分を許しません。
生まれてきた自分を受け入れられません。
幼い子は母親にいたぶられても、自分が悪い子だから
と思い込み、それは成長しても心の奥底(おうてい)では変わりません。
仕事に体調に恋愛に結婚に、母親の「暴力」は影響を
ふるい続けます。
不幸なことに、母親による傷を訴えても世間は聞き入れません。
いい大人が、何を、とかあるいは「誰でも親とはうまくいかない」など
問題の矮小化をされ、精神的セカンドレイプを受けてしまいます。
世間の一般的な感覚は、親が子を憎むわけはない、子が
親を憎むわけがない、というものです。
報道で知っていてもそれは特殊事例だと思い込み、実は身辺に
程度の差こそあれ、親の虐待に傷を受けている人たちは多いのです。
ところが一般的な人々は、それを受け入れると何かしら自分の
価値観が揺らぐと思われるのか、奇妙なくらい強固に被害者である
かつての子たちの訴えを退けます。
そしてついには黙りこんだまま、幼い子は肉体だけ老いて行き、
母親を許せない自分を責めたままこの世を去ります。
何か、しっくり行かなかった人生の全てを自らの責任として。
そう、その頃は亡き母親の年齢を越していることも多く、
よもや今更母親のせいで、自分の中の何かが歪められ、
そのために、人生にどこかしらひずみが来たことを、自覚ないまま
この世を去ります。
即座に分かり合えるのは、同じ体験者同士ですが、これは
どういうものか、同病同士分かり合っても癒やしにはならないのです。
第三者が、あなたのせいではない、自分を責めることはないんだよ、
と受け入れてくれた時に、少しずつ癒やしが始まります。
伴侶がそういう体験をふと漏らした時、どうぞ批判無しで黙って
耳を傾けてください。そして一言「あなたが、きみが、悪かったのではない」と
言ってあげてください。その瞬間にゆるやかではありますが、癒やしが始まります。
他者の理解の中でも、とりわけもっとも身近な他人の受け入れが、孤独と自己拒絶の淵からパートナーを救い上げます。どうぞ、そうなさってください。
親との関係でトラウマを持つ人は、親を許す努力は必要ありません。
おそらくそれは、一生不可能で新たな自分への責めの材料にしか
なりません。許せれば最高ですが、おおむね無理だと思います。
傷つき心から血を流しているのは、今のあなたではなく、
数十年前の親しか頼れなかった精神的孤児としてのあなたなのですから。まず、自分を許してあげてください。あなたに非はありません。
親に冷たい言葉を浴びせられたのは、鋭い言葉の刃で
心臓を刺し貫かれたのは、また叩かれたのは、タバコの
火を押し付けられたのは、あなたが悪い子だったからではありません。
悪いのは親のほうです。その親もまた、親の愛を知らず子イジメの
連鎖が続くのですが。
妊娠中に堕胎を考えた母親の子は、一生をかけても母親に
復讐する、と聞いたことがあります。
お腹の中にいても、人の声は聞こえているわけだし、肉体的に
密着してつながっている母親の思念を、胎児が受け止めていると
いう考え方じたいはさして奇異でもないでしょう。
とても具体的な例をつぶさに見たことがあり、私は上記の説を
半ばはあり得ると思っています。その人が妊娠中に中絶を
考えたことも知っているし、そしてその子が長じてから
母親に壮絶なまでの復讐をして、これでもかと叩きのめしたその有様も
まざまざ、見ています。そして、母子ともにそのことには
気づいていないのです。
また幼児期に母親から肉体的な暴力を受けた子に、まだ
幼い頃に会ったことがありますが、その子はしだいに
心を不安定に壊していき、間もなく成人になるのですが、
そのうち母親を殺めるのではないか、
と身近の人に言わせるような不安定な状態になっています。
母恋いが反転すれば、この上ない悲しみとなり、悲しみは強い
憎しみに再反転します。
母親(あるいは父親)により傷を受け、苦しんでいる方、
私でよければ聞かせて頂きます。コメ欄に「公開しないでください」と
表題に入れ、思う存分書いて怒り、そして泣いてください。
あなたが、悪いのではありません。
あなたを愛し、100%受け入れてくれる人が
どこかにいます。