この度の震災で、被害にあった学生の話。
不意に電灯が切れ、真っ暗になったと同時に
意識を失い、気が付くと天井が鼻の先にあった。
これで終わり、と覚悟した時、持っていた
携帯で遺書を送ったのが、両親と兄。
この学生さんは助かるのですが、今回のことで
自分に最も大切な人は誰かを腹に入れたでしょう。
また遺書を書く相手が、ご両親とお兄さんであったということは
家族に恵まれ、幸せな自分であることに気づいて欲しいと
思います。家族と上手く行くのは決して当たり前のことではありません。
母を憎み父を恨む人たちも多いのです。
この学生さんは将来もう一人、遺書を書きたい人・・・・というより
一番先に遺書を書く相手、つまり伴侶と巡りあえますように。
そして次に書くのが子供たちへの思い。
幸せな家族に恵まれた子は、自らも幸せな
家庭を築きます。
家庭から不幸を得た人はいっそ、家庭を持たないか、自らまた
不幸な家庭を再現するか、あるいはあんな家庭には自分はしない、
あんな親にはならない、と腹を決め温かな家庭を築き上げる
人と三種類に分かれます。
御巣鷹山の飛行機の墜落の時も、墜落する修羅場の機内で
メモに家族への愛を走り書きした人がいて、胸をつかれましたが
いまわのきわに、言葉を遺したい、ぶつけたいほどの
相手がいることじたいは、幸せなことです。
相手がたとえ、犬であれ猫であれ、暮らしを分かちあった
愛があるなら、ありがとう、またね、という思念はきっと
彼らにも伝わるでしょう。
世の中に最期の思いを伝える相手もいない、孤独な人も多いのです。
あなたには遺書を遺せる人がいますか?
いるなら、どうぞその人を大切に。
今、共にある幸せを噛みしめてください。