上野に美味しいステーキ屋があるので、行かないかと友人からの誘い。
あの界隈の地理が不案内なので、間違っているかもしれないが
たぶんアメ横だったと思う。
外にテーブルを出して飲み食いしている横丁の喧騒を歩いていると
バンコクを思い出した。聖も俗も混沌と湿度の高い熱気に溶け込み、
なんでもありの、あの放恣な街。
ステーキ屋はまぁまぁ。とびきり安かった。
腹ごなしをかね、また緑の気を浴びたくて忍ばずの池に足を伸ばしたら、
池の畔で、雀に手でカップケーキを食べさせているおばさんがいて
「慣れてますねえ」と声をかけたら、「あなたにも、出来るわよ」と
ケーキを分けてくださった。
手にケーキをもった途端、羽音と共に雀が飛んできて
手に止まり、ケーキをついばんだ。
雀は用心深い鳥で、こんなことするとは思ってなかったので
びっくりしたし、また嬉しかった。
雀にしばらく遊んでもらってから上野公園へ。私の脳裏では忍ばずの池も
上野公園も一緒のエリアなのだが、別らしい。
ここらは「わが家」でロケに使わせて頂いたところだ。
やたら石碑が多い。
包丁塚や鳥の碑(たぶん、軍鶏鍋とかそういうので暮らしてる店の人が
建てた?)などは珍しくはないけれど、ふぐの碑や果ては眼鏡の碑には
笑った。
日本はとにかくなんでも、供養する。その心は失くしたくない。