テレビで、タレントの皆さんが焼き鳥をあまり美味しそうに食べるので、
番組が終わるのを待ちかねて夜更けの街にさまよい出た私。
頭の中にはテレビで見た焼き鳥がジュウジュウと脂を炭火に滴らせて
香ばしく焼かれています。
さまよいさまよい、しかし方向音痴の私が見事に該当店を探し当てたでは
ありませんか。
やれ嬉しや、と店内に入れば店員さん「かなりもう品切れになってますけど」
終電間近だし、それはそうかもしれない。でもきっと私がテレビで見て
食べたいと思っていた「皮」ならあるに違いない、本体という贅沢ではなく、皮だもん、単に皮だし、と塩とタレを二種類頼んでみたら、読みはぴったし「それならあります」
それにしても、品切れ品目続出なんて流行ってる店なんだね、よっぽど
美味しいんだねっ、と私の舌は美味のプールへ飛び込むための
予備運動で震えているのでした。
皮ばかりでは何なので「ぼんじり」も頼んで、これもあり。
少しは緑も、と思い枝豆を頼んだら真っ先に出てきて、
これがとんでもないテンコ盛り。
なんで、こんな安いの。それに、見ただけで解るのだけど、
新鮮ではない・・・・。
うまくも、まずくもない・・・・どちらかというと、まずい枝豆だった。
冷凍かな。繊維がぐじゃぐじゃなんだもの。枝豆の形をした
ゴムを噛んでる具合。
で、焼き鳥。
・・・・・・・げ。
残した。
脂が気持ち悪くって。安いわけさ。
嫌味に聞こえたら申し訳ないが、六本木や渋谷のそこそこ高い
店は、こんな鳥の脂がギトギトしてないし。まるで廃油。
焼くときに十分脂が落ちきっていないのか、はたまた肉自体が古いのか、
あるいは冷凍か。
残して急ぎ足で店を出てからも、マズイものを食べたあと特有の
気持ち悪さが、舌にタールのようにまつわりついてた。
口内と舌の細胞が、よくもよくも、私たちにこんな気色の悪い
思いをさせてくれましたね、アゲそう、ああいやだいやだ、
と全力で私に抗議しているのでした。こういう時は何か
うまいもので、舌の記憶を上書きするのですが生憎深夜、
それに、予定外の夜食で胃にはもう空きがありません。
安さから若者が気軽にたくさん食べられるのはいいけど、それはそれで
いいけれど・・・・・いいレベルの味も一方で知っておかないと、舌がバカになるなあ。繊細な日本人の舌を壊すなよ・・・・
でもテレビではあんなに、美味しそうにパクついてたじゃないか、と
思ったのだけど、そりゃそうだ、ロケに店を長時間借りきっておいて
まずそうには食べられないよね。旨そうに食べるも芸のうち。
あーあ、ころっと騙された「無邪気視聴者」な私。
そう人に言ったら、「タレントに出す分は、材料の質アップグレードしてんじゃ
ないんですか?」
・・・・・そっかな?うーん・・・・・・