小池さんの「戦略」が概略見えてくるにつれ、その巧みさと
度胸の良さに舌を巻いています。
バッシングは織り込み済みで、党や都議会に無断で立ったことも
正解ですね、2つの意味で。
一つは、まともに礼儀を踏まえても小池氏は受け入れられず、
そこを押して立ったとなると、無断で立つより厄介なことになりました。
ふたつ目は、先手必勝で出たことで「潔い」「強い」「俊敏な」印象を与え、
そして、その「無礼」さで、党や都議会との対立軸を作ったことにより、
誰が何を言っているのか、さっぱり解らない慌ただしい都議選の中、
小池さんの立ち位置がシンプルに際立ち、マスコミのスポットライトが
集中して、画面への露出頻度はダントツであり、鮮やかな作戦勝ちです。
これほど、胆力のある方とは思いませんでした。作戦勝ちではありますが、
そこで勝つには巨大なものと相対する、最悪死をも覚悟する
腹のくくり方が必要です。なまなかの男でも、ひるみます。
女性が腹を据えた時の強さです。
私は普段、男女の境界線を最初に置いて論じることは避けるのですが、
この方の場合、女性性を抜きに語ることが出来ません。
正義は常に実は女性側にあります。なあなあで手打ちの論理は
男のものです。
安倍さんが、一度国民に対して舛添氏を擁立したことを謝るべきと
私は書きました。それに呼応したわけでも何でもないですが、とりあえず
安倍さんは謝罪しました。腹から出ている言葉ではなく、口先でしたが、
しかし(しょうがなかったんだよ、しがらみがいろいろあって)と言外に
聞こえるような謝罪で、それでもしなかったよりはいいと思いますが・・・・・
ただ、舛添氏を辞めさせただけで形の上では無罪放免であったことの
納得の出来ない鬱屈は都民にあります。都民ならず、強引に
幕引きされたことへの、割り切れなさ感は国民にもあるのではないですか?
そこへメスを入れると、小池氏は言うわけです。
舛添さん、あんた逃さへんで、これで無事逃れたと思うなよ、って
ことですね。
舛添氏のような大失格者を推した、自公の責任を改めて問いますよ、
ケジメつけさせてもらいますよということでもあり、これはおそらく都民が・・・・・というより自民党支持でもその、汚濁部分・妥協部分にかねてから
腹を立てている層の喝采を浴びるかと思われます。
今回の一件を看過することは、今後も自民党の体質が存続することを意味する
わけで、そこを断ち切りたいのでしょう。
といって、小池氏が自民党を全否定しているわけではありません。
肯定しつつ、しかし内部に巣食う男の「なぁなぁ」のある種の
汚さへ、揺さぶりをかけているのだと思われます。
これは権力機構を知り尽くし、その怖さを知っている男には
なかなか出来ません。
珍しく私が今回は、政治における女性性に触れるゆえんです。
安易に「政治を女目線で」などと口走る品と頭の悪い女議員を私は嫌悪しますが、女性が女性の本分に腰を据え、立ち上がると男に勝ります。
男の嫉妬についての小池さんの発言も鮮やかです。
「嫉」にも「妬」にも、双方「女」が入っているがそれは「男」に
すべきというのです。
ちまちましたところでの嫉妬は女性が多いかと思いますが、もっと
大きなところで権力がからむと、とたんに嫉妬は男専有に
近くなります。
女が権力機構で抜きん出た時の、おっさんの嫉妬と女性性への
侮蔑ぶりは凄まじいのです。小池さんもさんざん、やられたと思います。
地方の教養のない男議員が時々、やりますね。酒をつがせて、
胸を揉むたぐい。女は男にやらせてりゃいいんだ、政治は
男のもんだ、お前は飯と子を作り、股を広げていろと
下品で無教養なゲスな要素が、しかしさほどあからさまでなくても
男の中にはあるのです。
都議会解散などと最初からケンカ越しでと批判する向きもありますが、
私は舛添氏が擁立された時の、都議会自民党BBSを通じて
この人達のせこさ、小汚さをまざまざとオンタイムで見、また
自分たちの担ぎあげた舛添氏の不祥事に対していかに無責任で
あったかも見せつけられているので、「斬りこむわよ」という
小池氏の、懐に匕首を含んだ喧嘩腰が痛快なのです。
・・・・・・・少々小池氏を褒めすぎたでしょうか。
人脈を見ると、うーん?と最初は感じていたのですが、今回の
喧嘩の仕方は鮮やかで、つい手を叩きたくなってしまうのです。
抜本的な改革は、清濁併せ呑める男にはできません。
今回は女性の出番であろうと、小池さんが出る前から
私は言っています。
まるでその思いに答えるように、さっそうと小池さん登場なので、
つい褒めすぎてしまうのでしょう。
しかし、五輪利権を含めて許しませんという宣戦布告は
他の人は怖すぎて出来ません。巨額の利権と巨大な組織が
絡むことであり、下手したら命も危ない。
小池さん腹をくくられたな、と実のところ息をのむ思いなのです。
誰か「東京五輪返上」を公約に掲げて都議選に出て欲しいと、かねがね
私は書いてきました。
無論、それは物理的にもはや無理です。リオまで日にちが迫り過ぎています。
しかし、「五輪利権許さず」という公約は、「東京五輪返上」に精神は
通じます。
それもあっての快哉なのです。
本当に私は五輪の裏側の腐臭に辟易としています。
さて、これから鵜の目鷹の目で小池下ろし劇場が幕を開けます。