どなたと、お名指しは致しませんが保守言論界では著名なお方で
わたくしも、常日頃お考えには賛同している方が
天皇陛下の「生前退位」「お気持ち」について、
こう発言されている、とコメント欄にお知らせ頂き、
いささか困惑いたしました。
言葉全体に及ぶ反論は、範囲が広くそのための考証も多岐に渡り、
ブログの域を超えるので、数行に対してのみ反駁致します。
>「憲法」は昭和二十二年五月三日に施行された「法的世界」の問題である。
「天皇」は、クロード・レブィストロースが指摘する
「太古の神話から発する権威の世界」におられる。
従って、「お気持ち」は、「権威の世界」に在り「法的世界」に在るのではない。
よって、「法的世界」の憲法は、「権威の世界」の「お気持ち」に及ばない。
つまり、そもそも「お気持ち」に
「憲法」に違反するか違反しないかの議論はあり得ないのだ。
これが「日本」なのだ。
フランス人の文化人類学者の言を用いずとも、
天皇陛下がわたくしども日本人にとって、「理屈」の埒外にある
お方でおわすことは、つとに承知しています。
たとえば、神武天皇が形而上の存在にせよ、あるいは実在のお方で
あったにせよ、三笠宮殿下のようにそこを否定されると
天皇陛下という、護るべき「神話」が総崩れしてしまいます。
それゆえ、「法的世界」(形而下)と、「権威の世界」(形而上)の価値観と
分けられる心情は、大変良く理解できるのですが・・・・
ただ、法は法です。天皇陛下ご自身が、皇祖神と代々先帝の御前にて
そう宣言されていらっしゃいます。
即位の礼、正殿の儀において、「即位を内外に闡明致します」という
国内外への誇らかな宣誓に続き、
「日本国憲法を順守し、日本国および日本国民統合の象徴としての務めを果たすことを誓い」
と、明確に述べておられます。これを否定なさるなら、陛下が皇祖神の前で
誓われた言葉が、嘘であったという甚だ心苦しい矛盾が生じませんでしょうか?
そして、天皇陛下御自らが平和憲法は守るべきもの、とお誕生日談話で仰せです。
「戦後,連合国軍の占領下にあった日本は,平和と民主主義を,守るべき大切なものとして,日本国憲法を作り,様々な改革を行って,今日の日本を築きました。戦争で荒廃した国土を立て直し,かつ,改善していくために当時の我が国の人々の払った努力に対し,深い感謝の気持ちを抱いています。また,当時の知日派の米国人の協力も忘れてはならないことと思います。」
天皇陛下お誕生日に際し(平成25年)
実情は日本が作ったわけではなく、GHQ製です。
以下は釈迦の耳に説法ですが、
「日本国憲法では、天皇を『象徴』として定め(1条)、
『憲法の定める国事に関する行為のみ』を行い、
『国政に関する権能』を有しないと定めています(4条)。
国政に関する権能を剥奪したのはGHQです。明治憲法下において、軍部が「統治権」の総覧者であらせられる天皇陛下を盾に暴走。そのために剥奪された「統治権」です。
憲法改正派は、それを是とせず改正を唱えているわけですが、それに
アンチのお立場が天皇陛下(と皇后陛下)ではいらっしゃらなかったでしょうか?
改正派の思惑とは真反対に、天皇陛下が「立法権、行政権、司法権」を行使すること、またそこに影響を及ぼすことを、一方で拒否なさっていることではないでしょうか。
宮内庁の風岡典之長官は、今回の「おことば」を受けた8日の記者会見で、「憲法上の立場を踏まえたご発言」として政治的メッセージではないと、説明していますが、お言葉を受けて政府が動き始めている以上、政治的メッセージであることは、明白です。そのことの是非はさておくとして、お言葉が立法権と、行政権に現実、及んでいます。
憲法違反を違反と明確に認めないと、何かの「都合」で曖昧にするなら
日本国民の遵法精神に悪しき影響を及ぼしかねません。
天皇陛下は、ご自身が護持を主張なさる「平和憲法」においては
「象徴」という偉大な権威でおわしても、権力者ではありません。
国民がお言葉を聞けば、どうぞお心のままに、となるのが現実で
事実、90%の人が「生前退位」に賛成だと伝えられています。
ただ、お気持ちで一点明確でないのが摂政や代行でなぜ
いけないのか、という点です。
摂政や代行が可能であると国民が知れば、賛成の数は
相当数減る可能性があります。
摂政も代行も順位の必然で皇太子殿下となります。
それに対して否定するなら、次期天皇であるべきお方を
拒絶という、はなはだ矛盾した論理になりはしないでしょうか。
それと、非常に厳しく見据えねばならぬのが、「生前退位」論と
なぜか、「女性天皇擁立論が」あたかも抱き合わせのごとく
澎湃として湧き上がっている点でしょう。
内々政府も水面下で知りつつ、宮内庁は国民を欺いてまでの
(この点もいかがなものでしょうか)公共放送を使っての
計略的発表、リークという形を装った練りに練られた計画ですが、
そこになぜ唐突なまでに女性天皇擁立論がくっついてくるのか、
慎重な考察が必要でしょう。
今回の天皇陛下の「お気持ち」発表を擁護する保守は、
女性天皇を是とされるのでしょうか。
摂政設置
摂政は,皇室典範の定めるところにより置く(憲法第5条)。
天皇が成年に達しないときは,摂政を置く。また,天皇が,精神・身体の重患か重大な事故により,国事行為をみずからすることができないときは,皇室会議の議により,摂政を置く(皇室典範第16条)。
順序
摂政は,次の順序により,成年に達した皇族が就任する(皇室典範第17条)。
1 皇太子(皇太孫) 2 親王・王 3 皇后 4 皇太后 5 太皇太后 6 内親王・女王権能
摂政は,天皇の名でその国事行為を行う。この場合には,摂政は日本国憲法の定める国事行為のみを行い,国政に関する権能を有しない(憲法第5条)。
訴追の禁止
摂政は,その在任中,訴追されない。ただし,これがため,訴追の権利は,害されない(皇室典範第21条)。
お願い 匿名とかUnknownでの投稿は、発言への責任担保という意味で
おやりにならないでください。無記名の2ch的書捨てに場がなることを
好みません。常連の方はどうぞ一つの名前で押し通されますように。
ありがちのHNはかぶるので、避けたほうが無難です。
なお皇室へのご発言に関しては、内容は過激なもの以外は自由ですが、言葉遣いに最小限の敬意を持たれますよう。
名と顔を晒しつつ、発言には100%の責任を負う覚悟のブログです。
ご配慮をお願いします。
これまで、全てのコメントを公開して参りましたが、アクセス数が
急激に増えて来ていますので、念のため。礼節を逸脱した
コメントは公開しかねます。ご了承ください。