「ねえ、ご飯食べにタイに行かない? 宿は王宮よ。召使を、3人ほどつけてくれるわよ」
と、某女優さんから電話を受けたのでした。
「召使、3人って何のために」と私。
「さあ。靴を履かせる係、孔雀の羽根で風を送る係、お風呂の脇でバスタオルを捧げ持つ係、とか?」と女優さん。
「落ち着かないから、1人でいさせてくれ」
と、庶民でしかない私は感想を延べ、
「でもなんで、王宮泊なのよ?」
すると女優さんは、
「私の友達が、日本人なんだけど王子の(何番目かの)お嫁さんなの。で、遊びに来てって」
「うーん・・・・これから連ドラにかかるんで落ち着かないんだよね、時間もないし」
と辞退したのですが、この時の私はタイという国をさほど知らず、
王宮泊がどれほど凄いことかも、わからなかったのです。
後に、避寒を兼ねてタイにしばしば渡るようになり、なんなら冬の間はバンコクで
住もうかしら・・・・・とコンドミニアム購入すら考えるようになった頃、
どれほどタイ国の国民がプミポン国王を慕っているかを知り、
タイの政情もいささか理解し始めていました。
その頃、王宮泊の話を思い出したのです。タイで、「どこに泊まっているの?」と
訊かれたら、バーツのお札の肖像画を示し「この方のお家」と言ってみたいなぁ、と。
で、女優さんに電話したのです。
「ねえ、タイの王宮に遊びに行くってあの話、まだ生きてる?」
「いいえ、生きてないわよ」
「え、なんで」
「王子の女問題で、彼女離婚しちゃったのよ。大枚の慰謝料をもらって、今は日本で優雅に暮らしてるわ」
・・・・・・・という顛末なのでした。
今なら、いかに連ドラを抱えていようと一泊二日でも、タイに飛びますけどね。
いえ、なんなら一話目は、JIM THOMPSONのシルクのガウンを羽織り、
召使に孔雀の羽で扇がれながら書いても、おつなものだったのに。
と、そんなことをプミポン国王ご逝去に際し、思い出したのです。
女好きの王子は汚職のタクシン派と結びついて、評判がよろしくないようなのですが、
シリントン王女は人望厚く、秋篠宮家と親交がおありです。
ご葬儀には参列されるのであろうかと、要らぬ気をもんでいるのですが。
いやそれよりも、王位はどなたが継ぐのであろうと、我が日本の現状を鑑みて
気にかかります。
シリントン王女は紫のタイシルクを召していらっしゃることが多く、王女支持の
タイ国民は、パープルの衣服を身につけてその気持を表しています。
王位は評判のよろしくない王子を退けて、王女にと言う希望表明なのかも
しれません。
国王のご逝去に際して、日本の庶民がくだらぬ思い出話などして
恐縮なのですが、王宮泊という言葉をキーワードに、あちらの王室には
親しみを抱いています。
可愛がっていらした、秋篠宮殿下と、そのお子様たちに
もう一度お会いしたかったのではないでしょうか。
プミポン国王のご逝去に際し、心からなる哀悼の意をタイ国民の皆様と
共に捧げます。
誤変換その他、文章上の瑕疵は後ほど推敲致します。