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Channel: 井沢満ブログ
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島へ

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断食ペンションで、オーナーの施術を受けている間毎日低く流れている

BGMがあり、その中の一曲に知り合い・・・・私の友人であった元松竹

スター女優であった方の夫が作詞作曲した曲が混じっていました。

これは、私、世の中に出てヒットする前に聴かせてもらっています。

「○○さんが作ったの。聴いて」

と、奥さんがピアノを弾きながら歌ってくれ、それからしばらくして世の中には

その曲が流れました。

その後、夫は何の事件でか逮捕され、二人は離婚しました。

夫にも私は会ったことがありますが、傲岸不遜で(アーチストとしてはあながち

欠点というわけではありません)、感じが良いというたぐいの人ではありませんでした。

しかし、半世紀近く生き延びているであろうと思われるその曲も詞も、愛らしく澄んでいて

「あの夫」のイメージとはえらく、かけ離れています。

夫の中に密かに小さく息づいていた清純とか愛らしさとか、そういう部分に

いきなり、何かが感応して「降ってきた」作品かと思われます。

残る作品というのは、概ねそうかもしれません。

と、他人事で言ってますが、私にも「残っている」作品があります。

数少ない作詞があるのですが、その中の1つは武満徹さんの作曲です。

「島へ」 作詞:井沢満 作曲:武満徹 (高崎コスモス合唱団)

いたずらで、気軽に書き流しておき忘れていた詞に武満さんが目を留め、曲をつけてくださったのです。

混声四部合唱ですが、長く歌い継がれそのうち石川セリさんとか、ドミニックビスさんとか

国内外のアーチストがソロで、CDを出してくれたりしました。

しばらく高校の教科書に掲載されていたこともあります。

今も歌われ続けていて、こちらは30年間オーバーというところでしょうか。

おそらく半世紀ほどは生き延びると思います。

「ジョージィ!」という私が書いた物語は、30年を経て今年もローマの

劇場で上演されているし、詞はこういう形で残っています。

ドラマにも単発と連ドラにそれぞれ、「伝説の」と冠がつく作品が

残せました。

いずれも苦労して書いた作品ではありません。

「降りてきた」ので、書くのに苦労はありませんでした。

・・・・・・詞は降りてきたものの、作曲家がぽかをして成立さえせず

消えてしまった作品もあります。高倉健さんが歌う歌として

依頼された詞なのですが、作曲家の選別を誤ったプロデューサーの

失敗でもありました。

「ロシアホテル」というタイトルの作品で、クレムリン広場にチャイコフスキーが

流れる、という歌の詞としては破格でしたが、「降りてきた」ので

出来は悪くなかったと思います。健さんの激賞の言葉が返って来ました。

そして・・・・曲が付き・・・・・・コケました。

パセティックな歌い上げるようなトーンの詞に、そのヴェテラン作曲家は

鼻歌レベルのメロディーをつけて来たのです。

ヒット曲の複数ある人でしたが、はい流行歌でございますという

レベルの詞しか相手にして来なかったので詞の世界観を全く

読解出来ていませんでした。

「歌えぬ」と健さんは言っていらして、さすがに敏感でいらっしゃいました。

その遥か以前に、私には健さんからの映画脚本執筆依頼をお断りした

経緯があり、それは私の幼い意地っぱりが原因だったからですが、

いずれにしても、健さんとは2度も至近に接近しながら、

ご縁のないまま、健さんは去られました。

・・・・・いや、でもこういう形でのご縁はあったのかもしれません。

いまだ健さんが私の心の中には「縁あったのに結ばれぬまま終わった方」という

感覚で残ってはいるのです。

 

 

*誤変換及び文章の瑕疵は、後ほど推敲致します。

*アクセス数が増えるに連れ、ジャンクコメも時に紛れ込みます。
鬱陶しいのでとりあえず、お名前欄に無記名のもの、
杜撰なHNは1つの目安として、そのままスルーさせて
頂きます。


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