何にその人の品性や、親の育て方がわかるかと言って食事の
最中の姿勢だと先の記事で書いた。
それで思い出したのが亡き向田邦子さんのエッセーで読んだ
「一人を慎む」という言葉である。
向田さんがある女性と食事しながら対談なさっていた時のこと、
対談相手の方が、いきなり箸を伸ばし器の端にひっかけ、
手元に引き寄せ、向田さんは(ああ、この方お一人の時の癖が
つい出たのね)と。
そして向田さんは他人ごとならずとして、自分一人でいる時も、
所作もマナーもきちんとしよう・・・・・と思われるのである。
「一人を慎む」というのは、極めて日本的な発想であるかもしれない。
誰しも人の目がないときは、しどけなくなる。特に食事の最中に。
心したいと、我が身に言い聞かせる。
誰が見ずとも天が見ているぞ、と思いたい。