昨夜、向井くんの「永遠のゼロ」を見て、ふと気づいたのだが
コン・ユと芝居の質とグレードが似ている。
繊細で直感的で、かつパワフルであるところは質として
似ていると言っていいかもしれない。
「花嫁の父」で向井くんと組むまで、実は彼に対して
私はほとんど知識がなかった。
それが作品が出来上がって、舌を巻いたのだった。
これは脚本家でなければ解らないことなのだが、セリフと
ト書きにこちらがこめたこと、そのまんま1ミリも狂わず受け止めて、
小細工なしの正攻法の芝居。
このたびの「わが家」でいよいよ、その思いを深くした。
コン・ユは私は100年に一度の逸材だと思っている。
年を重ねると100年という単位はさして、長くはないので
過褒ではない。
二十歳そこそこの頃からの作品から現在の45歳に至るまで
行ったり戻ったりしながら、コン・ユの芝居を見続け、
この人は天才であると同時に、ストイックなまでに演技に
誠実に向き合う人だと感じている。
それは日本で言う「道」の感性でもある。
華道、茶道、柔道、剣道、書道・・・・などなど、究めることが
天の何かに通じる如き、求道であること。
芝居も常に進化、体も役者の表現道具だと心得ての
鍛錬もコン・ユと向井くんに共通の魂を感じる。
組んだことのある某役者のぶよぶよした肉体を作品で
見て辟易としたことを思い出した。芝居は個性的で面白かったが、
芝居そのものにも贅肉がついていた。
少々売れ始めているが、この人は大成しないと予言しておく。
それに、これが最も大事なことだが、人としての品格に決定的に欠ける。
向井くんは若いので、100年に一度の俳優と言い切るには
まだ早いかもしれないが、私はそう予感している。
と勝手なことを吹いて、ふと振り返る我が身の重さ。
いいんだもん、顔で売ってるわけでなし、体に値段がつくでなし。