昨夜、ベルギー対ブラジル戦をライブで、途中から見始め、
こうなりゃ、日本が敗れたベルギーに勝って欲しい、と
思うのはおそらく、日本人サポーターに共通の
心理かもしれません。
しかし、しょせん他国同士の試合には乗り切れず(元々のサッカーファンではないので)
途中で眠ってしまったのでしたが、ベルギーが勝利したのですね、よかった。
こういう強豪を相手に善戦したのだから、日本も結構強かったじゃないか、
とこれも、共通心理かもしれません。
とはいえ、進んでもどうせ敗れるならあのゆるいパスは、止めて欲しかったなあ、と今更ながら、それが本音。監督の苦衷と自己嫌悪も報道で知って、ルール違反でもなし、ま、いっか、と自分を納得させていたのですが、やはり日本人の美学として最後まできっちり戦って欲しかったなあ、というのが本心です。
汚い勝ちより、きれいな負けを。
週刊新潮で、いつもはユーモアでくるんでエッセーを書かれる藤原正彦さんが怒り狂ってそのことを指摘していたり、かねてより尊敬する保守論客の方も同じ意見であることに力を得て、また蒸し返しているみっともなさなのですが。
「勝てばいい」という、今は大相撲界も席巻している姿勢が受け入れがたいのです。
週刊新潮の「管見妄語」から藤原正彦さんの文章を抜書きしてみると・・・・
子供たちが万引をしないのは、親のしつけであり「天罰が下る」であり「お天道様が見ている」からであった。
両親からは「汚いことはするな」と始終言われた。
一対〇のまま試合を終わらせろ、という監督指令を長谷部から伝えられた選手たちは以後、気の毒にも一切の攻撃を止め自陣後方でのパス回しに終止した。余りの不様に怒り心頭の私は直ちにテレビの前を去り寝室に上がった。
強敵を相手にきれいなサッカーで健闘してきた日本代表は世界中から多くの応援を受けていた。それが・・・(略)
英国放送BBC放送は「日本は世界の笑いものになった」と言い、ドイツのビルト紙は「W杯で最も恥ずべき十分間」と書いた。
・・・・・私は日本の美意識の欠如と捉えているけれど、世界スタンダードから見ても美しくはない行為だったのかもしれません。あれが日本人の精神と思われたかと思うと、無念。
藤原氏はこうも書いています。
スポーツ界もメディアも当初の当惑や恥辱はすぐに忘れ、「規則に従ったまでだ」「監督は冷徹な勝負師だ」などと、書かれている。
美醜で善悪を判断した孤高の日本を忘れた現代日本は、今や諸外国と同様、ルールに触れないことなら何でもするという姑息で狡猾な国に成り果ててしまったのだ。
・・・・・朝青龍の跳梁跋扈から始まった外国人力士の無作法を咎めるより応援する日本人が多かったこと、そして貴乃花親方の姿勢としては偏狭かもしれないが、言わんとする所はまっとうであったのに潰されてしまったことなども、思い合わせてこちらも藤原さんの呼吸に合わせて、実は暗澹、索漠としている現状です。
監督は白シャツがセクシーなどと女性誌が持ち上げていて、それに異存はないけれど、苦渋の選択だったとはいえ、美しさのほうを追求していただきたかった、というのがあれから数日後経過した現在の率直な気持ちです。
藤原さんのエッセータイトル「管見妄語」の「管見」は、細い管から物事を見るような、視野の狭いことを表し、自分の意見への謙譲語です。
誤変換他、後ほど。