佐藤愛子さんの「九十歳、何がめでたい」を原作とした朗読劇を
楽屋見舞いを兼ねて明治座に出かけたのが、「ボヘミアン・ラプソディ」を観た翌日のことだ。
三田さん、円熟の域で至芸だった。
昼の部だったので、爽やかな日差しの中しばし歩くことにして、
歩きながら三田さんの歳月に磨き抜かれた芸と対象的に似たような年齢の
方のことを考えていた。
女優が政治発言をしてはならぬ、ということはないがしかし、
不勉強の極み。おそらくは左翼系監督(映画、演劇畑には多い)
から若い頃受けた影響なのかもしれぬが、発言の稚拙さ。
私は若かったこともあり、テレビで「何十年やっても
芝居ができない人」と名指しで批判、司会者を
のけぞらせたことがある。
政治運動をやる時間があったら、本業の技を磨けよ、と
毒づきたくもなるのだ、あの稚拙な政治発言を
見るにつけ。私はその人を女優と思ったことは一度もない。
芝居が出来ない人を女優とは言わない。
何の役をやっても「アイドル仮面」をつけたままの、
底浅い紋切り芝居。
ただ、偉大なるアイドルであることは認める。何十年間も、
素人であり続け、しかしいまだ確固たる地位にあるのは、
凄い、とこれもテレビで言った。
かつてのアイドルが見るも無残に変形している姿を見せつけられれば、
若さと美貌を保つその努力は並みではなかろうと、
それには敬意を表する。
だが十年一日、「日本が悪い」と同じ立ち位置に足踏みしたままそこから
一歩踏み出して学ぼうとしない点は怠惰であると思う。
誠実に歴史を学んでいない。オウムのように習い覚えた
言葉を飽きもせず繰り返していらっしゃる。第二次大戦は、
日本だけが悪者であったというごとき、単純なものではない。
戦争それ自体への批判は免れぬだろうが、あの当時の情勢では
ルーズベルトの仕組んだ包囲網に追い込まれ、自衛の
意味合いも多く、日本は戦って地獄、戦わねば更に
地獄という立場に追いやられていた。原爆投下がむごい、
だから戦争はいけません、とそんな誰にでも言えることで
片付くごとき、単純なことではない。
政治話題が出た連想で、佐藤正久・外務副大臣の、胸のすく啖呵を思い出した。
日本のこのところの韓国への厳しい対応に対して韓国では
「韓国外交部が駐韓大使を呼びつけて抗議 」した、
という韓国側の報道を、事実とは全く異なるとあっさり斬って棄てた。
日本の駐韓大使は呼びつけられたのではなく、度重なる韓国での不当な反日の
あれこれに対し、申し入れを行うために前々からアポを取っていたのだ、と
すっぱ抜いたのだ。
私事にわたるが、佐藤氏には拙著「ゆきの、おと」の宣伝マンを
やって頂いたことがある。宇都隆史氏も同じく。
と並べれば、カミングアウトせずとも私の政治的立ち位置など
一目瞭然であろう。ある作家には「安倍政権支持なら、あなたとは
一生口をきかない」と言われた。諸手を挙げての全面支持でもないのだが。
それで思い出したが、外交・防衛学者であり永田町随一の読書家と
言われている当時、自民党の政務調査会調査役でいらした田村重信氏に
拙著をツイッターでお褒め頂き、お礼にあがった自民党本部の
食堂でカレーライスをご馳走になったり、大島 理森氏や亡くなられた長島 忠美議員に
お引き合わせ頂き、田村氏同道で山古志村の学校へ講演にうかがったこともある。
どのドラマだったか、自民党本部内に拙作のドラマポスターが
張り出され、前代未聞。これは田村氏のご厚意によるもので
あった。
と、それゆえ個人の次元でも自民党には恩義があるのだが、
しかしやはり自民党本部でその防衛論を拝聴したこともある
石破茂氏の最近の早稲田大学における講演での発言には、たまげた。
報道されている言葉をそのまま引けば、「いわゆる徴用工訴訟などをめぐり悪化する日韓関係に関し「判決は国際法的に間違っている」としつつ、「合法であっても独立国だった韓国を併合し、(朝鮮半島出身者の)名字を変えることが行われた。そういう歴史があったことをどれだけ認識するかだ」
合法だったと御本人もおっしゃり、当時韓国からは合邦を望む要人たちの電報が
ひきもきらず。これをなぜ、日本人がいまさら何を認識せよとおっしゃるのだろう。
独立国だったとおっしゃるが、清の属国であった国を開放させたのは
日本ではなかったか。「下関条約」である。自国から持ち出しで、かの地のインフラや教育制度を整え、「漢江の奇跡」と韓国の人たちが胸を張る短期の近代化は
日本が作ったもろもろをベースに、日本から貰った当時の国家予算の
二倍にも及ぶお金があってこそであろう。
名字を変える、というのは創氏改名のことであろうが、認識が
間違っていらっしゃらないか。
日本名を名乗りたいという人々が多かったこともあって創氏改名は、
強制ではなく任意であった。それが証拠に日本兵として
戦った朝鮮の人たちは、朝鮮名のままで記録が残っている人たちが
いらっしゃる。二割ほどの人々は創氏改名をやってはいず、
当時の朝鮮総督は「強制であってはならぬ」と訓令を出し、
現地の新聞に大きく載っている。
とこんなことを書き連ね、私としてはまっとうな発言をしているつもりなのだが、
どうやら右翼というものに分類されてしまうらしい。
気色の悪い、私はいかなる翼も生やしてはいぬ。
真実、それだけを知りたく語りたく思っている普通の日本人に過ぎない。
時には過誤もあろうが、日本が古来より保って来た精神性が好きで、
大切に思っている。
それしても最近の韓国の常軌を逸した反日は「大根役者」であり、
かの女優さんより下手である。