武藤正敏元駐韓大使を、最近しばしばテレビの情報番組でお見かけする。
この方が、日韓関係について広範な知識を現場を通してお持ちであることから、そこへの異議はないし、また冷静で端正な韓国分析には敬意を表する。
人となりも温和な人格者のようにお見受けもする。しかしながら、日韓関係に「温和」はよろしくないのではないか。穏やかな対応で、日本はさんざんこれまで両国の関係をかえって歪めて来たのではないか。
たとえば、武藤正敏氏の次の言葉が端的に氏の過剰な温和さを表しているように思う。
「大統領次第で関係は変わる。長期的に考えるべきだ」
変わりはしない。いかなる大統領が誕生しても、日本が竹島という領土を不法占拠されている現実、日韓併合に対する韓国の捏造史観、慰安婦・徴用工に関して言い立てる嘘に変化があるとは思えず、しかしそここそが日韓問題のベースである。
かつて東北大震災の時、武藤氏は韓国のテレビに出演して韓国からの支援に感動して涙をこぼされた、「いい人」なのだろうがしかし日韓関係においては、そのことに違和感をおぼえる。
あの時の韓国の支援とやらのまやかしぶりは、ちょっと詳しい人々なら承知している。国力に比して、台湾やタイなどからの義援金の額からして韓国は些少であったし、中にはいったん集めたお金を「日本に渡すのは止めた」として竹島(独島)の反日運動に宛てた組織もある。
義援金の多寡ではなく、そこにこもる気持ちが無論大事なのだが、しかし「日本の震災をお祝います」という韓国人の反応は、有名である。例外少数とは、私は思わない。
文在寅大統領の支持率は上がっている。これが韓国民の総意であろう。
国家としては反日であっても、韓国民個々は日本が好きだ、という言い草は私にはうさんくさく信じられず、その点は武藤氏に対しても同様である。
日本で韓流芸能人が熱狂的に迎えられるさまを称して「民間交流」と言われても、頷きかねる。いかに日本人ファンが会場を埋め尽くそうと日本の総人口のほんの微々たる部分でしかない。まして、あからさまな壊日、侮日を示しているBTS(防弾少年)にわざわざお金を貢ぎに訪れる日本人を私は恥ずかしく思う。
BTSが好きなのは構わない。しかし、彼らの反日活動に喜捨するごとき行為はいかがなものか。
何が何でも韓流排除とは言っていないし、偏頗な韓流嫌悪者でも私はない。
誤解されるかもしれないが、BTSの魅力を私が解らないわけでもなく、日本人も混じっている「IZ*ONE(アイズワン)」の彼女たちも乃木坂さんたちと同じく「いいな」と素直に思っている。
ただBTSのごとき韓国が国家として反日の駒に使っている連中に、お金を渡すのは日本国民としてどうか、ということだ。意識が低すぎないか。
「文化と政治は別」「タレントと韓国国家は別」という言い分が欺瞞であることは、以前に述べた。韓流タレントを文化とまでは思わぬが、芸能と政治と抱き合わせで使って来たのは韓国である。
韓国の地上波に日本の歌が登場するまで、ずいぶん時間がかかった。
ここに来て、また消え去るだろう。日本は韓流を出し続けている。「IZ*ONE(アイズワン)」は昨夜、民放局で見たばかりだ。反日を露骨に表に掲げていない限りそれは許容できる。
芸能を政治に使うのは、韓国国家ばかりではない。折あらば韓国人は日本のグループが韓国のそれに比べて劣っている、とけなして来る。BTSほど海外に進出もしていないではないか、と。
日本人は、集団投票で「国際的人気」をフェイクしたりなどしない。日本の芸能人たちは、国内の市場で十分潤っていて韓国のように外に出稼ぎに出る必要がなく、また国内のみで十分忙しい。それでも、海外で人気が出る人は自然に出る。
日韓の芸能に関する記述が長くなりすぎたが、芸能分野を「民間交流」と称する牽強付会の勘違いを述べたかった。
武藤氏の言説に私は十分に敬意を払うが、その姿勢には一抹の疑念を抱く。正直に言えば、「しょせん外務省」のコリアン・スクールが出自のお方である。
韓国と仲良くしたい、が前提にある。
このところ公共放送・民法共に❝早々と❞「国家間の対立があろうと、民間では親密である」という誘導とも思える言説が目立ち、それが今回の日韓問題の「落とし所」として使われるのではないか、と警戒している。それまで静観していたトランプ大統領がここへ来て、表現はかなり微妙ながら日韓対立への「仲裁」をにおわせる発言があったこともあり。https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190720-00000000-jij_afp-int
たとえ文在寅政権が変わろうと、日韓問題の本質に変化があるわけではない。問題をなおざりに「友好」を持ち出しても、それはしょせん見せかけの偽友好でしかない。韓国における幼児期から刷り込まれる歪曲された歴史への是正があちらにない限り、もっと言えば竹島を返還するまで韓国との友好などあり得ない。基礎をないがしろに日韓関係を表だけで修復しても、いずれまた日韓は今度のような問題に直面する。
韓国とは距離を置くべし。
北朝鮮との宥和政策を取る文政権を視野に、憲法改正で備えるべし。
戦争をすべきという意見では無論ない。平和を堅持するためには自衛隊の位置づけの明確化、格上げが必要なのだ。
自民党は意図的に選挙の争点から憲法改正を外しているが、このたびの選挙には憲法改正がかかっている。そこをこそ大事にしたい。経済も、一国が無事存続して、その次のことである。
追記 トランプ大統領の言葉をテレビで、じかに聴いた。活字媒体で報じられているのと、まるでニュアンスが異なる。格別に好きなシンゾーと、「普通に好きな」文在寅大統領が二人揃って仲介を依頼して来たら応じる、と言っている。それはほぼあり得ないことを前提での発言である。
それに、文在寅大統領と安倍首相を並べて「好き」に温度差を歴然とつけてみせたのも、トランプ大統領の政治家としての「芸」であろう。裏の言葉は(シンゾー大好き、文は好きではない)である。
それにしても、活字媒体のみ読んでいたらトランプ大統領の言葉の真意を把握し損ねるところであった。だがテレビでも編集次第で、ニュアンスが大きく異なる。用心したいところである。