根付を集める趣味は今のところないので、これが手持ちの全てである。
一番下の金属は、折り鶴である。
ただ、蜻蛉は何となく凝り始めて着物から半襟、扇子、手ぬぐいに至るまで
揃えているので、蜻蛉の根付がもしあったら欲しい。(ネットで探したらすぐ、銀細工の蜻蛉が見つかったのだが、残念ながら帯に留めるための金具がついてなかった)
こんなことを書きながら、亡き脚本家市川森一さんの言葉を思い出した。
「テレビであなたをたまに見てるけど、あんなに和服が身に馴染む在日の人はいないよ。あなたは紛れもなく日本人だ」
私が「日韓併合が終わる直前の京城(現ソウル)で生まれたもので、時々在日説が出まわるんですよ」と言った時の、市川さんの反応である。
ユニークな世界観をお持ちの脚本家だった。「淋しいのはお前だけじゃない」など、
作家性の濃いドラマをお書きの方だった。「黄金の日日」という大河ドラマも
市川さんだったと思う。
当時世田谷区深沢にあった三田佳子さん邸で市川さん、唐十郎さん、私と脚本家3人が招かれて、一夜飲み明かしたことがある。
ドラマを見ていて、あ、これは誰それさんが書いたな、と脚本家名が解る時代はもう終わったのかもしれない。
市川さんといい、唐十郎さんといい、文体と世界観をお持ちの方である。