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敗戦国からの脱出

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戦後70年目にして、やっと敗戦国から脱出の道筋がつくようだ。そう、やっと。

以下の産経新聞の記事を読み、そういう感慨を抱いた。

http://www.sankei.com/politics/news/150616/plt1506160006-n1.html

自民、「占領政策」を独自検証 新組織立ち上げへ

自民党が、終戦後の連合国軍総司令部(GHQ)による占領政策や東京裁判、現行憲法の成立過程などを検証する新組織の設置を検討していることが15日、分かった。戦後70年を機に、東京裁判で争われた内容や憲法制定の背景を振り返ることで「正しい歴史認識」を確認し、今後の改憲議論に反映させる考えだ。

新組織では、GHQが占領中、全国の新聞に「太平洋戦争史」を連載するなどして戦勝国側の歴史観を浸透させた「ウオー・ギルト・インフォメーション・プログラム(WGIP)」や、東京裁判が「侵略戦争」と認定した背景を検証。WGIPや東京裁判が戦後の歴史教育に及ぼした影響についても議論する。

また、安倍晋三首相が「原案をGHQの素人がたった8日間で作り上げた代物」と評する現行憲法の成立過程も振り返り、憲法改正に向けた国民的な議論も盛り上げる。

稲田朋美政調会長はかねて「東京裁判の判決は受諾したが、判決理由に書かれている歴史認識のすべてに反論が許されていないわけではない」と主張し、検証の必要性を指摘してきた。

新組織は稲田氏のもとに設置され、早ければ今国会中にも議論を始める。

自民党では、朝日新聞が誤りを認めた慰安婦報道の影響などを検証する「日本の名誉と信頼を回復するための特命委員会」(中曽根弘文委員長)が月内にも提言をまとめることにしており、新組織は特命委を引き継ぐ形とする案もある。

           ーーー転載ここまでーーー

いずれにしても、「アメリカの都合」である。敗戦時の日本弱体化のための、WGIPも
プレスコードも憲法も、戦勝国アメリカの不都合から世界の世論を逸らさせ、
隠す目的と、日本を永代に渡って支配するための、いわば日本人奴隷化政策であった。

それが、対中国を睨んだ世界情勢の変化と自国の国力低下で、風向きが変わった。
日本をアメリカが重用し始めたのだ。これとてアメリカの都合であるが、
いい風向きであることに変わりはなく、一気に日本は打って出られる道筋がついた。
アメリカの都合での風向きであるから、いずれはまた向きが変わる可能性もある。
追い風が背中を押している時に、一気にことをやっておきたい。
というのが、安倍総理のこのところの動きであろう。
戦後70年目の談話も、おそらく中身は中国韓国を激怒させるものになるのでは
なかろうか。

これとて「アメリカの許可」を得た上でのことであろうと思われるが。

風向きの変化は、安倍総理の米国議会における演説に顕著に現れていた。
背後に日米合同のシナリオと演出家の存在をとても感じた。
硫黄島で戦った元海兵隊員と、硫黄島で亡くなった指揮官、栗林忠道の孫である議員との
握手など、いささかやり過ぎるくらいのシナリオと演出であったが、上手く行った。

醒めた目で見ると茶番だが、世界は大きな茶番で動いている。

アメリカの都合による風向きの変化は今回が初めてではなく、
朝鮮戦争に頃すでに第一段階目があった。
すなわち、軍事的に日本の両手両足を縛り上げ、転がして去った
アメリカであるが、しかしその間違いにすぐ気づく。日本を縛り上げると、自らも
使い勝手が悪くなる現実にアメリカは直面する。憲法発布の早くも5年後に朝鮮戦争勃発。
アメリカは日本の武装を必要とし、自衛隊の前身である
警察予備隊を総理府の機関として作らせた。(GHQの指令に基づくポツダム政令による)

警察予備隊が何段階かを経て、現在の自衛隊になるわけだ。
防衛予算じたいは、世界レベルでも高いほうではあるが対人口比で言えば、
主要国中、最低水準である。高い練度と高度な装備は備えているが。

自衛隊の人数を増やすべきなのか、今のままでいいのかは、
私には解らない。しかし、今後少子化に向かって行くことを考えれば国防に関しても、
備えが必要であろう。 

さて、稲田朋美政調会長の「東京裁判の判決は受諾したが、判決理由に書かれている歴史認識のすべてに反論が許されていないわけではない」という言葉に、小和田恒氏の名を
想起する人も多いのではなかろうか。土井たか子氏との国会におけるやりとりは、有名なので、記憶している人もいるだろう。

 

昭和60年11月8日第103回国会 衆議院外務委員会 第1号から抜粋してみる。


土井委員
 

つまり、国際的に日本は中国に対して侵略をしたということが是認されておる、国際的それは認識である、このことを日本もはっきり認めなければならぬ、こういう関係になるわけですね。
東京裁判で「平和に対する罪」という概念が新しく出てきているわけですが、「平和に対する罪」というのは内容は一体どういうものなんですか。外務省いかがでしょう。

小和田政府委員
 

極東国際軍事裁判所の条例で「平和に対する罪」というものが規定されまして、それに基づいて被告が起訴されたわけでございますけれども、その中で訴因の第二十七というのがそれに当たりますが、中国に対して侵略戦争が行われた、これが「平和に対する罪」を構成するという規定がございます。

土井委員
 

それは、極東国際軍事裁判所条例の中にも明記がされているところですから、今局長がお答えになったとおり、中国に対して侵略戦争を行ったということに対する罪である、具体的に言えばそういうことに相なるかと思うのです。そうすると、東京裁判自身に対しては、日本はこれは認めているわけですね。また、東京裁判に対しては国として、政府として、それを是認するという立場にあるわけですね。いかがですか。

小和田政府委員
 

土井委員御承知のとおり、日本国との平和条約の第十一条に規定がございます。「日本国は、極東国際軍事裁判所並びに日本国内及び国外の他の連合国戦争犯罪法廷の裁判を受諾し、且つ、日本国で拘禁されている日本国民にこれらの法廷が課した刑を執行するものとする。」云々という規定がございまして、ここで極東国際軍事裁判所の裁判を受諾するということを約束しておるわけでございます。

土井委員
 

受諾するということになると、条約に対しては遵守するという義務が日本としてはございますから、したがって、平和条約の十一条に言うところで、はっきりそのことに対しては認めているという立場に日本の政府としては立つわけですね。日本の国としては立つわけですね。これを再確認します。

小和田政府委員
 

ここで裁判を受諾しているわけでございますから、その裁判の内容をそういうものとして受けとめる、そういうものとして承認するということでございます。

土井委員
 

この東京裁判、極東国際軍事裁判所において戦争犯罪人として処罰されることのためには、戦争を引き起こした、侵略戦争を行ったということで処罰されているわけであります。侵略戦争というのは、先ほど外務大臣がおっしゃるとおり、国際的にこれは犯罪ということに相なるかと思われますが、いかがでございますか。

小和田政府委員
 

一般論として申し上げますと、極東軍事裁判の評価については学問的にはいろいろな意見がございますけれども、先ほども申し上げましたように、国と国との関係におきましては、日本国政府といたしましては極東軍事裁判を受諾しているわけでございます。その裁判の過程におきまして、先ほども申し上げましたような「平和に対する罪」ということが起訴理由になっておりまして、その訴因の第二十七で、被告が中華民国に対し侵略戦争並びに国際法、条約、協定及び保証に違反する戦争を行ったということが挙げられておりまして、御承知のような判決が出ているわけでございますので、そういうものとして政府は受けとめておるということでございます。

土井委員
 

したがって、侵略戦争は国際的に犯罪であるということを認めるということに相なりますね、もう一度お尋ねしますが。

小和田政府委員
 

この極東軍事裁判において問題になった戦争あるいはこの被告の行動につきましては、それが極東軍事裁判所に言うところの「平和に対する罪」を構成するという判決、そういう裁判を受諾した、そういうものとして認めたということでございます。



          ーーーーー ここまで ーーーー

 

コピーで引き写しながら息苦しくなって来るのだが、小和田氏は要するに日本は「裁判自体を受諾した」という見解を述べているのであり、稲田氏は「判決は受諾したが、裁判自体を許容してはいない」という立場である。真っ向からの対立である。

英文における「judgements」を「裁判」と訳すか「判決」と訳すかだが、小和田氏は裁判と
訳して受け取っているのだが、しかしこの解釈が後に大きく日本を苦しめることになる。

英文解釈を引きながら述べたのは西尾幹二氏の論が有名である。
judgments(判決)を受諾する、と書かれていて、「裁判」を受諾するならtrialかproceedingsかが用いられる、というのが小和田氏批判の人たちの論点である。

総理の70年談話が出されたら、より明確に現政府と小和田恒氏との対立構造が浮かび上がる可能性があるが、マスコミはそこは避けるかもしれない。

安倍政権がやろうとしていることは、すなわち(ある意味)小和田氏に代表される東京裁判肯定、自虐史観派の否定であるから、日本の屋台骨に関わる重大事であろう。・・・・・が、テレビは歌舞伎役者と女優の別れ話のもつれに時間を割いても、日本がこの夏を境に
戦後レジウムから脱出しようとしている、この大変な節目を伝えない。

意を尽くせないが、述べ始めるときりがない。

日本弱体化にあたって、GHQが中共が日本軍捕虜に用いた洗脳方法を採択したのだが、
ようやくそのことも公文書による記録が現れ、光が当てられるようになった。

 

http://www.sankei.com/life/news/150608/lif1506080009-n1.html

 

GHQ工作 贖罪意識植え付け 中共の日本捕虜「洗脳」が原点 英公文書館所蔵の秘密文書で判明

元米外交官、ジョン・エマーソンが米上院小委員会で証言した記録(英国立公文書館所蔵)

中国には、アメリカの日本弱体化の方法論を、数倍にして日本をやっつけろという文書があると言われている。
怪文書扱いもされているが、しかし中国の発想を考えるなら、そういう文書があったとしても、
驚きはしない。

憲法解釈を巡って賑やかなことであるが、少々茶番に感じる・・・・
というのは憲法それ自体が、日本に主権のなかった時の、交戦権否定の「占領基本法」であろうし、ハーグ陸戦条約第43条違反憲法でもあろうから。

私は素人だから「憲法の存在自体が違法なんだから、日本のためになるということを最大の価値観にするなら、解釈など臨機応変で変えればよい」と、つい乱暴に言ってしまいたくなるのである。出自がいいかげんなものを、生真面目に論争することの徒労感とバカバカしさとでもいおうか。
敢えて乱暴な口を叩いているけれど。

 

70年目に日本が迎える夏は、相当劇的であろうことが予想される。

ただその劇的変化はおそらく見えている者の目にしか、見えないのかもしれない。


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