ランチに外に出たら、顔を平手打ちされるような炎暑。
スリランカをダークスーツで歩いて、平然としていたほど
暑さには強い私が、いささかしんどい。
そして、人がパタパタと倒れている。
それにつけても、東京五輪、無謀である。この炎暑をマラソンで
走らせる？ 各国から押し寄せる観光客には高齢の人々もいる。
皆、東京の湿度の高い熱暑を知らずに訪れる。
自国の夏に慣れた日本人が亡くなっていて、ヘタしたら
五輪に訪れた外国人の中から死人が出かねない。
競技場界隈のあちこちに、氷と氷水を用意、冷風や冷水の
噴霧を置くなど対策を講じねば。
いいことばっかり言って招致した８月の五輪など、詐欺みたいなものだと
私は思う。世界中からブーイングを浴びること必至。国威発揚の
逆の結果になりそうな。
それに、恐れながら両陛下がご高齢でオリンピック該当年、及び
前年度にもしものことあらば、開催は延期か中止。
招致運動の頃は放射能や、直下型地震、豪雨による水害など、
マイナス要素ばかりで、良くバルセロナを押しのけたな、と思う。
不自然さから私は、事前の談合を疑っているけれど。
不評さくさくの新競技場も鬱陶しいので、中身は書かぬが
不正と利権の影くっきりとある。平昌に絡んだIOC自体が
脛に傷持つ様子で、私はほとほとこんな状況下で
開かれる五輪に、拍手をする気になれない。
自国開催でなくても、よいではないか。これほど、不明朗な
事柄が気色悪くうごめくなら、よそでやって日本は選手団だけ
派遣すればいい。競技場にかかる、言語を絶する高い予算は
選手育成など、そちらへ回したい。
だいたい「お・も・て・な・し」とあの段階から私は気味が悪かった。
日本のおもてなしというのは、たとえば客人が訪う前の
さりげない打ち水であるとか、熱いおしぼりなどで、
大きな声で宣伝するたぐいのものではない。
あの時点で日本のおもてなしではなくなっている。
そして美味しいことばかり言って、炎暑の東京に人を呼ぶごときこと
自体が、おもてなしの心からは著しく外れる。
なぜ急ぐ？ 最もいい季節、秋に開催できる頃に名乗りを
上げ、嘘はつかず、心を尽くして呼び込めばいい。
今みたいに出来レースの臭いふんぷんたる中、新競技場はじめ
腐臭を立てるものばかりが集まる。
安倍内閣の不支持率がとうとう、支持率を上回ったそうで、
それが安保法制案を理由にしているなら、いくらでも
説明、フォローができるが、勉強会での公に出してはならない
本音の吐露、そして新競技場のザハ案は民主党の採択とはいえ、
撤回を行うべきは自民党なのに、続行とする厚顔さと不正の臭いなど、
かばうこともできない。
三島由紀夫は未来の日本を表現して（文言は忘れたが）「東洋の片隅に金だけはあるが、下品な国がひとつ残る」という意味のことを書き、川端康成は「私はもう美しいものだけを書こう」と宣言して、滅び行く日本との心中をほのめかせ、三島がそれに強く賛同した。
美しい日本は滅びて行く。私も実感として、掌から滑り落ちて行く砂のように日本の美しさが失われていくのを、眼前に見る思いがしている。