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Channel: 井沢満ブログ
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東京ラビリンス

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東京のみならず病的なまでの方向音痴な私は、どの街も迷路である。

半世紀住んでいる東京も、迷路が多い。読者の方に教えていただいた
呉服の赤札市に出かけ、**駅で下り案内の封筒にある通り
A出口に出たのだが、目印になるデパートが全く見えない。
主催者に電話してみたのだが、これが埒があかない。
代わってもらって説明を受けたら、何と地下鉄の駅から
直行でデパート内に入るのだという。こういう場合、私は
地図を読むのも不得手なので、相手が悪いのか
私に非があるのか自信がないのだが、案内図を見れば
**線**駅*出口と、指定してあるのだ。
直行でデパートと普通書いてないか。

というわけで、また地下鉄の改札口まで下りて
デパートへの入り方を駅員さんに聞き無事デパートから出たのだが
さてそれから、どうしていいのか解らず交番を探して
やっと道順を聞き、それでも解らずもう帰ろうと、
踵を返しかけたのだが、せっかく来たのだし、もうちょっと
進んでみようと歩いていたら、建物がふいにあった。

しかしここまでで、もう相当テンションが落ちていて、
銀行からお金を下ろし、絶対にいい着物を買おうと意気込んでいた気持ちは
萎えていて、なんか幸先がよくないなあ、と
会場へ向かったら、何と靴を脱がねばならない。
私は結構な面倒くさがりで、いったん履いた靴を脱ぐのが面倒。
最初から脱ぐ場所へは大抵和服なので、草履はすっと
脱げるからそれは気にならない。

だが今回は足のむくみの解消に、特殊靴を履いていることもあり、
もうこの時点で家に帰りたくなっているのだが、しょうがなく
脱いで上がったら、担当の方だとかがいらして、見ている間じゅう、
そばにいると言われ、めげた。買い物に売り手に付き添われるのが
好きではない。

くじ引きをやっているとかで、のっけにガラガラを回されこういうのも
好きではない。挙句、外れで回したエネルギー返せ、などと
仏頂面で思う私も相当のものぐさである。でも当たらなくてよかった。
当たっていたら、手ぶらでは帰りづらくなるところだった。
まさか車一台が当たるなどということはないにしろ。

おまけに、担当男性氏に加えアシスタント的女性も加わり、
ショールをお持ちしましょうの、バッグをお預かりしましょうと、
親切なのだが、あいにく私はこまごまと世話を焼かれるのが大嫌い。
(うぜー)。放っておいて頂きたいのだ。

勝手に出来合いの着物もあると思っていたのだが反物ばかり。
それはいいのだが男物は種類も少なく、しかも高い。
それに更に仕立て料金が加わる。それもいいとして、赤札とはいえ、
高価な反物のわずか3万円引き。これじゃ赤札ではなく、薄桃色札で
あろうよ。最大70%引きの惹句が脳裏で一瞬に崩れ去る。

そういう私の気分を読み取ったのか、担当店主いわく、女性物は
流行に左右されるので大幅値引きのがあるが、男物はそうではないので、
値下げ幅が少ないのだそうだ。そりゃそうだ、どうせみんな、ほぼ無地じゃないか。本当に男物ってつまらん。時代劇で見る街着の楽しいのないのかいな。

そういう時の奥の手で、女性物を見せてもらったのだが、仕立てたらゲイ酒場のママだわ、というごとき反物ばかり。ぼかしの入ったので、面白いなあと思ったのがあったが、男には無理。

男物で、光沢のあるパープルに近いグレー‥‥・・という微妙な色合いのがあり、それにしようかなと思ったのだが、私は買い物は即断即決で素早いのだが
何かふっきれず、うじうじと気持ちがはずまない。パープル系はすでに
持っているし、と。

で、やめた。

せっかく出てきたし、銀座三越の惣菜売り場で美味しい弁当でも買おうと
帰路、足を向けたのはいいのだが、ここでも広い売り場をうろうろ、うろうろ、
やっと弁当売場を探し当て、しかし呉服売り場を訪れた時、横目で通り過ぎるときは、全部美味しそうに見えた食品が、いざ買おうとすると、どれも決定打に欠ける。

それにどの弁当も小さく上品で、値段は下品に高い。いや、下品というのは言葉の勢いだが、とにかく小さい。食欲魔と化した自分が標準ではないのかもしれないと思いつつ、やっとこれならと思う弁当を発見したのだが苦手なウニとカキが入っている。それに、ひところ凝って食べまくったのどくろ、まるごと食べていたのを、今更切り身でほそぼそと食べたくない。

というわけで、呉服に続き食品売場でも空振りであった。

おせちの予約も始まっていて、某有名料理店の一段だけの
おせちで、量的にはせいぜい一人から二人・・・・というのが、5万円
オーバーだった。私はその店の東京の本店にも京都の本店にも
連れて行っていただいたことがあるが、お重でこれじゃあ本体の
お店では一体幾ら払っていただいたのだろう。
五万円の中身はなんだろうと見たのだが、どれもこれが格別というものは
入ってなく、キャビアがあるわけでもなく、ただ金箔で小さな何かを包んだり、
散らしたりしているばかりで、金箔など大して高価なわけでもないし、
美味しいわけでもない。

というわけで、不発の一日なのであった。くたびれた。


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