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Channel: 井沢満ブログ
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映画の中の核ロジック

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「相棒」ファンである私が、三田佳子さんのディナーショーで
水谷豊さんにお会いして、ハグしてもらいミーハー的に
舞い上がった話は書いたことがありますが、
テレビでその「相棒」劇場版をやっていたので、見ました。

自衛隊を辞め、自分たちだけの国防軍を離れ小島で作り、
訓練しながら、その一方で細菌兵器を作っている・・・・という
スケールの大きい話を書かれる輿水泰弘さんならではの
脚本で、おそらくこの方、政治的スタンスと知識をかなり
明確に持たれている方かと想像します。

お会いしたことはなく、ただ私がテレ朝に昔、連ドラを書いた時、
病み上がりだった私の代わりに1話分、私が合間に休養出来るよう、
製作者側がピンチヒッターとして立ててくれた、その程度の
ご縁なので、ご本人の思想は作品からだけでは解りません。

映画のラストに、水谷さん演じる杉下右京と、自衛隊から落馬事故で
外れ、自ら民間国防軍を組織した男との対論が興味深いものでした。

人類が持ってはならないものとして、細菌兵器があると突っ込む
右京の相棒(成宮さん)に対して男は、「細菌兵器と核と、どう違う」と
切り返します。「核が最大の防御なんだ」と、もっともな論理であり、これに対抗する論理というものはなかなかありません。
私がセリフで切り返そうとするなら、こう書くかもしれません。

「(右京で)あなたのおっしゃるとおりですよ。核は人類が持った巨大なジレンマであり、核を持った国が持たぬ国に対して持つなというのも、矛盾です。おまけに北朝鮮という、国際的ルールを無視する国まで核を保持してしまいました。だからこそ・・・・そこに細菌兵器を持ち込むと、世界の頭の上で揺れるダモクレスの剣は余計、危うく人類の頭上で揺れ始めます。そこに加担せずという選択が、、人類最大の良心ではないでしょうか」

ダモクレスの剣をまず、セリフでさり気なく説明しなければならぬし、実際はこういうセリフでは成立せず、もうちょっと脚本家として腕が要るところですが、レーゼドラマ(対話劇)としては、緊張感のあるシーンになり得るところです。

上のセリフに対して、男側からの反駁が当然あるわけですが、割愛します。
お断りしておきますが、上記は輿水脚本を逸脱して私の意見で書いたセリフです。

輿水脚本では、男と右京との核を巡る対論は比較的短く切り上げていて、それは大娯楽という路線を守った結果でしょうが、私はアクションシーンを削っても、もっと突っ込んで真剣に渡り合いたい部分でした。

大ラスの右京と、成宮くんのセリフも、私ならもっと悩みたいところです。
核という閉塞状況への出口はきっとあるといういう成宮くんに対して右京は
「あるといいですね」と、“悲観的希望”を述べて映画は終わるのですが、
これが映画全体の結論としてはいささか、食い足りない印象でした。
と言って、核論を大ラスで延々とやってもいられぬので、工夫が必要なのでしょう。

映画批評ではなく、映画に託していささか記した、本日は私の核論未満でした。

 

誤変換その他文章の瑕疵は後ほど、推敲致します。

 


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