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Channel: 井沢満ブログ
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「山の郵便配達」

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過日、日本橋のTOHOシネマズに「朝10時の映画祭」というのを
初めて観に出かけました。

名作映画のデジタル版復刻を、2週間単位で上映するのです。
日曜日ということもあったのか、意外な入りで客席は
7割方、埋まってました。

見たのは中国映画の「山の郵便配達」(1999年製作)監督は霍建起(フォ・ジェンチー)。

これが逸品でした。優れた映画というのは、他者の人生を1つ生きた
ような感慨をもたらしてくれます。
田舎の山道を黙々と徒歩で郵便を配達してきた父親が、
息子に仕事を譲り、その息子の最初の仕事に愛犬とともに
付き従う、と状況設定はそれだけのシンプルさで、物語は
ハリウッド的派手な仕掛けとは無縁に、山岳地帯の険阻な道を
歩む父子の足取りで淡々と進んでいくのですが、
だんだん明かされる父子の関係に、時に胸が締め上げられほどの
哀切さ。親への子への愛しさ。

そこに長年、父の仕事に付き添ってきた犬が、アクセントとなって
物語世界を深々と構築しています。

腐っても鯛。と言っては失礼ですが、文化大革命で一見それまでの
文化の堆積を突き崩してしまったかのような、共産中国ですが、
文化的DNAまでは朽ちていないようです。

韓国映画は面白さでは出来の大変いいものもありますが、
深み、芸術性という観点ではこれといった作品を咄嗟には思いつきません。
中国は時として、小津や成瀬巳喜男というレベルに達していますが、
韓国に小津はまだ出ていません。

娯楽という観点からも、黒澤明は出ていません。文化の累積度が浅いのです。
例えば隆盛を極める日本アニメは、絵草紙が原典です。
根っこがあるのです。韓国は模倣。
それを自覚しているがゆえに、すべてを韓国起源だと言い張ってやまないのでしょう。

「山の郵便配達」の父親役も素晴らしかったのですが、息子役の役者がキラキラしていて、名前を調べたら劉燁(リィウ・イェ)。

驚いたことに、中国で轟々たる評価を得た「藍宇(ランユー)」の若者役で出ていた(当時は)大学を出たての新人でした。

「藍宇」は、胡軍 (フー・ジュン)演じるバイセクシャルな男に一夜買われた貧乏な若者藍宇が男に一途に恋してしまい、男もまたそれに答えるが、女性との結婚というかたちで裏切り・・・・・という一見異形の愛の形なのですが、愛の純粋性に変わりはなく、その本質で見るべき映画でしょう。

当時中国では同性愛が禁じられていたこともあり、香港の監督によりゲリラ的に撮影されゲリラ的に上映された作品のようで海外での評価も高いようです。同性愛など中国の古典猥本「金瓶梅」に普通にふんだんに描かれまた名作「さらば、わが愛」(香港中国合作映画)でも取り上げられているのに、禁止措置とはやはり文化大革命の煽りなのでしょうか。

時と場で異なる価値観など、私は信じませんが。

話がそれましたが「藍宇」における劉燁(リィウ・イェ)を私は全く買っていず、
劉燁(リィウ・イェ)を買うほうの男を演じた胡軍 (フー・ジュン)存在感と演技力に圧倒され、上海のドラマ祭にお招き頂いたとき、海外旅行不得手の私が、二つ返事で出かけたのは、会場に胡軍の姿があるかもしれない、という期待感もありました。

赤絨毯を踏んでカメラの放列の中、会場に入ると真後ろの席が中国スターたちの席でしたが、薄っぺらい美男と整形美女しかいず胡軍の姿はなく、がっかりしたのでした。

胡軍の影に隠れて、冴えないと私が思った劉燁(リィウ・イェ)はこの役で台湾の賞を得たようなので、私に見る目がなかったのでしょう。しかし、まだ学生時代に出演した郵便配達のほうの劉燁(リィウ・イェ)には、私も感応したので、好みの次元なのかもしれません。そういえば「藍宇」は秀作とは思いますが、好きな作品とは言いきれません、暗くてバッドエンディングであることもあり。

それにしても映画で見る中国人はかくも情があり、考え方も律儀なのに、いざ政治の世界で見せるあの、残忍な表情はなんとしたことでしょうか。
日本の空港で見せた、雪で飛行機が飛ばないと解ったとき、叫ぶ喚く、掴みかかる民度の低さ。

13億7千万の民もピンからキリということでしょうか。胡軍 (フー・ジュン)の
Wikiには「満州族」とあり、民族も多岐にわたるこの国の人々の
性質も、日本のような単一民族(敢えて)のように「日本人の性質はこう」と
単純にくくれるものではないのでしょう。

韓国映画で描かれる心情も、分からぬではないのです。
ただ、微妙に日本人の感性とはハレーションを起こす部分があり、
それは何かと問われれば「佇まいの品格」です。

配達夫の中国人父子は極貧で、身なりも美しくはないのですが、役者の佇まいに品があるのでした。

 

誤変換その他、後ほど推敲します。

  

 


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