インバネスが欲しくて三越の和服売り場に出かけた。
もうサイズが不揃いになっていて、普通のウールのインバネスを求めるつもりが
カシミアになってしまった。普通ウールの倍価格である。
今頃冬物を求めに来るのが下手なのだ。
しかし流行り廃りがないので、一生もの。体系の変化にほぼ影響を受けない。手入れが良ければ孫子の代まで伝えられる。購入するときは息を整えねばならないが、結局さして高い買い物ではないことは、和服と同じである。
夏の和服に帽子が好評だったので、冬の帽子も求めた。
「ボーラーハット」で頭部が丸く、山高帽の一種であり英国発祥。
ダービーハットとも言うそうだが、これにインバネスを羽織ると
まるでシャーロック・ホームズだ。
ワトソン役は向井理くんに頼みたい。
求めたボーラーハットはウサギの毛で織ってあるそうである。
写真を写すのが面倒なので、ネットで拾ったイメージ画像で
およそこんなの。
インバネスだと和服にブーツでもよさそうな。
明治大正、和服にインバネス、革靴は普通の風俗であったように
記憶しているが、どうだったろう。
洋服にも着られる。
買い物には、ちょっと用件もあったので、着付け「衣香」の糸賀文音さんに
お付き合い頂いた。私が小説中の人物に和服を着せるとき、相談に乗って
頂く方で、「花嫁の父」(小説タイトルは「ゆきの、おと」)でも
お世話になったが、「わが家」でも着付けに関して教わった。
「わが家」より
鯛子の母親は着物で店に立っていたので、鯛子も着物は仕込まれていて、友子のまとっているのは千草鼠に南蛮船と小花、白銀の青海波の帯は本綴と素早く見て取り、それに白い草履も趣味のいいことと感心している。