選挙の集票について、田母神さんと何だかの得票比率を精査すると
比例に「次世代」がゼロというのは、どうにもあり得ず・・・・納得しがたく不信の念
を抱いているのだが、あいにく数字が不得手で、私がいじって検証してみても
計算間違いでとんだ赤っ恥かくのが関の山。
脚本でも数字が関わることに関しては、必ずと言ってもいいほど「あの・・・・・」と
スタッフからご注意が来る。
というわけで・・・・・
ドラマの話題にする。
小説のほうの増刷は発売まもなく、書店からの注文が相次いだ結果を受けての
ことであると版元の担当者さんからの連絡で、ありがたいことである。
面白がって頂けたなら、書いた甲斐があった。
小説中登場する一歩(向井理くん)の母(田中裕子さん)の実家の
和食の店に、ヒノキの一枚板のカウンターがあり、今しつらえたら家一軒買え
る、と描写したら、それがテレビ画面で映ることを楽しみにしている、とコメント欄
に2つも言葉を頂戴した。
あいにく、ドラマ脚本では母親の実家は出していない。
出したところで、テレビ画面ではヒノキの一枚板の重厚感も、なんとも言えない手
触りも解らない。
逆に合板に細工してもそれらしくは映る。
ただ、小説のモデルにした店は実在する。書いた通り、地下鉄神田駅の出入口
の目の前である。
何口であったかは記憶にない。
ヒノキの一枚板カウンターはそこで、女将さんから聞いた話であり、またその店
が契約農家から野菜を配達してもらっていて、配達のおばあさんが
「採れたてピチピチの野菜だよ!」と
届けてくれるのだと聞いて、面白いのでいつかセリフに使ってやろうと頭にメモし
ておいたのだが、意外に早く使うことになった。
「採れたてピチピチの野菜」は小説でも、ドラマでも双方使わせてもらい、一歩の
妹役をやった村川絵梨ちゃんに激賞してもらったが、自分のオリジナルでないこ
とは正直に伝えてある。
母親に「およしよ」などという言葉を使わせているが、これもそこの女将さんの言
葉を拝借した。いわゆる江戸弁でたいそう面白く、また残しておきたく耳をそばだ
てて脳内録音しておいたのだ。
ドラマでは、原稿用紙でせいぜい118枚、小説では300枚。自ずと、ドラマでは
省いてある部分もある。
かといって、映像は一瞬の情報伝達量が多いので単純にドラマは小説の3分の
1の内容しかない、ということでもない。
たとえば、衣装の描写など小説ではするが、ドラマでは特殊に必要なとき以外は
衣装部さんと役者のチョイスに委ねる事のほうが多い。
小説と、ドラマの関連部分を抜書きしておく。
ドラマはまっさらで見たいという方はすっ飛ばして欲しい。
小説も脚本もゼロから読みたいという人も。
代々東京は神田で続く老舗料理屋の長女で、江戸っ子ってやつだから「およしよ」なんて、時代劇みたいな言葉を使うし、うちの庭の畑で作っている野菜を「とれたてピチピチだよ」なんて自慢したりする。
実家の料理屋が荒川区の農家と契約していたそうで、配達してくる農家のばあちゃんが、そう言って届けて来ていたそうだ。
名は鯛子で、これは老舗の料理屋の娘として、縁起がいいってことでの命名なんだろう、とそう思っているだけで由来は聞いたことがない。
名乗ると大抵「妙子」だと思われると、おふくろは言う。
店はさほど豪華というわけではないが、明治時代からの名残りが店内のあちこちに、たゆたうように残っている。
今の東京のリズムとは異なる独特のゆったりした時間が流れているようで、カウンターのヒノキの一枚板は、今しつらえると、家一軒分の値段なんだそうだ。
そのやわらかな手触りのカウンターに煙草の焼け焦げ一つないのも、おふくろの実家自慢の一つ。
上記が小説で、ドラマでは描いてない部分。
以下は脚本である。
○桜木家・表
鯛子「(麗美に)これ、採れたてピチピチの野菜。うちの畑のなの。それと、漬物」
麗美「嬉しい!ありがとうございます」
鯛子「これは一歩の分。(麗美に)お酒は飲む人?」
麗美「ガンガン」
鯛子「あら、おともだち!」
ほの香が帰って来る。
ほの香「お兄ちゃん、来てたの!? ちょうどよかった!」
一歩「え」
ほの香「大変、病院でね(と、言いかけるが麗美の姿に口をつぐむ)」
麗美「私、一人で先に帰ります。お世話になりました」
引き写していたら、神田のその店に行きたくなった。そういえば、もうふぐの季節
ではないか。
お客さんの中で、小説を読んだ人がいたら、女将に話しているかもしれないが、
私は1年前にふらっと入ったフリの客なので、記憶にはなく最近はテレビに
顔を出してもいないので、身バレもしないだろう。
いやバレてまずいことはしていないのだが。
ところで小説を読み、更にドラマを観てくださる奇特な方に一つお願い。
小説にあって、ドラマで省いた箇所があるが、ここはドラマに入れたほうが良か
ったと思う箇所があれば、ぜひ参考までに聞かせて頂きたいのだ。
私自身がドラマ内で書くべきだったか、と迷っている箇所が2つほどある。
ただドラマをそのまま活字でなぞるだけの小説にはしたくなかったので
小説独自の世界は築くよう心がけた。
媒体の違いで小説では効果的でも、映像ではさして生きないこともある。
それでも皆さんの感じ方を今後の参考までに知りたい。
監督はじめスタッフには今度会った時、意見を聞いてみるつもりだが。
またまた余談だが・・・・・
向井くんが結婚するというので、今後もし再び彼に脚本を書くことがあるとして
従来のイメージでは書けなくなったなぁ、と漠然と思っていたら、結婚は可能性
がないでもない、程度のことで確定ではなく、スポーツ紙のフライングだと近い人
から聞いた。
ファンにはほっとする話か、がっかりする話かよくわからないが。