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Channel: 井沢満ブログ
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「天際(てんさい)」

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日本語に関心を抱き、大事にしたいと思っているのですが これだけ、生きてくると少なくとも普通の読書や日常で接する言葉で 「これは知らないなあ」というのが、まずありません。 といって、私の語曩(ごのう)が十分に豊かだというわけではありませんが、
語彙は一般レベルからしたら、相当多いほうであろうとは思います。 おそらく、初めての体験だと思いますが映画の中で初めて見た言葉に遭遇しました。 向井理くんが企画、出演した映画(どうもタイトルを憶えない)の中で、向井くん演じる向井くんの祖父が、妻と子供たちに宛てた遺書中に「天際」という言葉がありました。 文脈で意味は察しましたが、私にとっては初対面の言葉であったろうと思います。 「デジタル大辞泉」から、転載させてもらいます。   【天際】 の意味

出典:デジタル大辞泉

天のはて。空のかなた。天涯 (てんがい) 。 「北方には漢水蜿蜒 (えんえん) と―に流れ」〈太宰・竹青〉 名詞     てん‐さい【天際】の例文

出典:青空文庫

・・・まして光をうけている部分は、融けるような鼈甲色の光沢を帯びて、どこの山脈にも見られない、美しい弓なりの曲線を、遥な天際に描いている。

芥川竜之介「女体」

・・・ 紫玉のみはった瞳には、確に天際の僻辺に、美女の掌に似た、白山は、白く清く映ったのである。

泉鏡花「伯爵の釵」

・・・朝の天気はまんまるな天際の四方に白雲を静めて、洞のごとき蒼空はあたかも予ら四人を中心としてこの磯辺をおおうている。

伊藤左千夫「紅黄録」  』 
 

ーーーー転載終わりーーー  


あの時代の人は達筆なのですが、総じて語彙も豊穣でした。その中でも向井くんのお祖父さんにあたる人は、インテリだったのでしょう。

頭脳優秀で、でも敗戦という時代背景がありそのために教養人が似合わない畑仕事や、ところ天屋などやりいずれも失敗、失意の人生を送る・・・・今も皆無ではないでしょうが、あの時代には多かったでしょう。外地で過ごしていたために、国内に就職の手づるもないままに、闇物資に手を出す事もできない純粋さのゆえに。

敗戦の後は、GHQによる公職追放などもありたとえば外務省には日本が果たして大事なのかな、好きなのかな、と思う人々が残りました。小和田恒氏などは、その筆頭でしょう。

天皇陛下のタイにおける必要のない謝罪ご挨拶も、小和田氏の筆になる作文でした。

こういう人ばかりではなく、小和田氏に歯向かったようなまっとうな愛国者もいました。

・・・・・「天際」という言葉について述べるつもりが脇道に逸れました。

それにしても、芥川龍之介、泉鏡花を私は日本語の達人だと仰ぎみていますが、かねてより悪文家だとみなしていた伊藤左千夫も、こうして見るとそれなりに語彙は豊富なんですね。


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