Quantcast
Channel: 井沢満ブログ
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1913

なんのために生きるのか?

$
0
0

コン・ユのDVDを見ようと、テレビをつけたら着物の洗いをなさる
職人さんが映っていて、思わず見入ったのだった。

着物が、解くと反物に戻るようになるように「設計されている」という
表現も面白かったし、専門の着物の洗い職人さんの繊細な
技は拝みたいほど。

色変わりした着物に、思いもしない色彩をかけて修復する凄技。

更には、どうしても修復出来ないシミの箇所には、着物の柄に絵を合わせて
描き入れるという絶妙の技で、これはもうお一人しかいないということで、
はたの私が心配で残念なことである。

それにしても、着物の凄さ。世界のあらゆる衣装の中で、これまで
使い倒し、着倒し、しかし価格は天井知らず・・・・・という美術品の
ごとき存在は唯一ではないか。

それにしても、職人さんは若き頃より着物と向き合い、人様の
着物の修復に一生を費やされるわけである。
凄いことだと思う。
言ってみればそれがなくても、人が生きていくに困るわけではない
世界で職人を全うするというのは、こわいし勇気の要ることだし、
むろん根気は言わずもがな。

私の仕事とて、世の中になければ人が困るというものでもなく、
思えば儚い仕事であろう。しかし、半生をそれに捧げることになる。

人はなんのために生まれ、なんのために生きるのか。

まず己が何者かを知るために。知ったら人様のお役に立てる仕事をするために。
この2つが1セットで、人は生きるのではあるまいか。

書けなくなったら、命を絶ちたい。自死は選ばないので、生き延びるかと思うが
書かない時間が延々と続くのは、緩慢な地獄のようでつらい。
書ける僥倖を噛み締め感謝しつつ。


Viewing all articles
Browse latest Browse all 1913

Trending Articles