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38歳がぎりぎり若さの限界?

「エリカ38」という映画を日比谷シャンテで観てきたのが昨日。
前日、ネット予約した時は空席だらけで、個人的に存じ上げている
奥山和由さんの製作なので、残念だったなあと思っていたのだが、
当日はウィークデーの4時半からの上映なのに、いきなりほぼ満席だった。

奥山さんの製作だが、樹木希林さんがプロデュースに名を連ね、
樹木さんとは生前、ご縁浅からぬ関わりがあり、浅田さんも
連ドラでご一緒したことがあり、そういう意味でも他人事ならざる
映画ではあったのだが、出来が良く堪能した。

実際の事件をベースにした映画だが、60歳の女主人公が
逃亡先のタイで得た現地の恋人に「38歳」だと偽った年齢が
絶妙で、これが60歳の女がぎりぎりサバを読む限度だと
妙に納得が行く。39歳でも37歳でもないのだ。
そういう意味で「エリカ38」は秀逸なタイトルだと思う。
名乗る名前も「エリカ」、これもギリギリ。キラキラネームの
三歩ほど手前の偽名である。


希林さんが身内のように可愛がっていた浅田さんに代表作を、と
して奥山さんに持ちかけた話であるようで、希林さんが映画を
ご覧になったのかどうかが気がかりで、奥山さんにお尋ねしたら
編集に手を入れ音楽を差し替える前と後の完成に近い作品はご覧に
なったそうで、ほっとした。

浅田さんは希林さんの思いを汲んで見事な演技だが、一箇所ちょっと惜しかったかなあ、と思うシーンあり。
お金を騙し取られた人たちにエリカが吊るし上げられるシーンで、これを
浅田さんは居直った女の図太さ一色で演じたのだが、もうひと色欲しかった。
唐突に少女めく愛らしさをふっと見せる、とか。・・・・と
奥山さんに伝えたら「なるほど、さすが!!」と返信が来た。
短いシーンなら、図太い女一色でいいのだがかなり長いので、ひと色だけの
芝居をもったいなく感じたのだ。

浅田さんの演じるヒロインに、テネシー・ウィリアムスの「欲望という名の電車」のブランチ像を私は重ね合わせ、とするとセリフの書き手としては、
私ならこうする、という箇所があったのだが、それは些末なことで
映画自体はめっぽう面白い。

全国的にヒットしているようで、ご縁のある奥山さん、あった希林さん、
浅田さんのために喜ばしいことである。


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