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Channel: 井沢満ブログ
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テレビ画面で再会する「旧友」

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今朝(17日)の早朝「暴れん坊将軍」の再放送で、亡き沖田浩之くんを見かけ、
胸が締め付けられる思いをしていたところへ、夜はまりこ(と私は呼び捨てだった)、こと藤真利子さんの
母親介護を伝える番組に遭遇で、はからずも「旧友」二人に再会した気分だった。

 

沖田くんは自死の道を選んだ。なんで? と残されたほうは無力感に打ちひしがれると言うが、
私はさほどの間柄ではなかったのだが、なついてくれてた子で、もうちょっとこっちから
アプローチかけてれば、何か一言言って上げることぐらいは出来たのになあ、という悔いは
ずっと残っている。それで彼が死なずに済んだと思うほど自惚れてはいないが、
せっかくのご縁をないがしろにしたような気持ちが後を引いた。

かつての東映時代劇スター、大友柳太朗さんも自死を選ばれた。
仕事を共にした役者さんたちを随分見送っているが、自ら命を絶たれたのは
沖田くんと大友さんである。

大友さんにはお会いしてないのだが、作品にかかるとスタッフに延々と長電話をなさると
聞き及んでいたので、覚悟していたのだが我が家の電話は鳴らずじまいだった。

私は3回、NHKの朝ドラを書いているがその一番はじめの作品「いちばん太鼓」は大阪の
NHK製作だったので、ロイヤルホテルのスイートにこもった。
大きな寝室と、居間のある部屋で、その居間が出演若手俳優たちの
たまり場となって、プロデューサーに内緒で夜みんなで飲みに出かけたりなど
していた。
私を連れ出そうと画策したのが、まりこちゃんだったような気がする。
その席に沖田浩之くんもいた。まりこちゃんのカラオケは「桃色吐息」だった。
歌手である岸田智史くんもいたのに、歌はまりこちゃんだけ覚えている。

ホテルの居間で、まりこちゃんと彼女が30歳になったお誕生のささやかなお祝いをした。
私も若かった。そういえば、まだ未成年だった三田寛子ちゃんもいて、将来の旦那さんにしたい夢の
像など聞いた。その後、夢にぴったりの旦那さんを得た。遊びのほうは夢の中に
織り込んでいたかどうかは知らない。夢の実現力のある子だと思う。
(当時からの癖で、いまだ子扱い)

まりこちゃんとは喧嘩するほど仲がいい、とジャニーズ事務所のメリーさんやジャニーさんに言われるほど、
仲良くしてもらっていた。しじゅう電話でも口喧嘩したり、私がお説教をくらったりしていた。
取ったばかりの運転免許で、自宅まで遊びにくてくれたこともある。
すき焼き食べたいというので、うちですき焼きをやったことがあるのだが、私がうっかり
家のものにそこら辺ではなく、きちんとした肉屋に出かけ極上肉を買ってくるよう
言っておかなかったもので、スーパーの肉で彼女は箸をつけず、もっぱら野菜ばかりを食べていた。
口がおごっていたのは、私もで二人共その世界で華やかの頂点にあった頃。
拙宅のリビングには何人ものスターさんたちが訪れた。

そのまりこちゃんが、「ママが倒れたの」と呟いた辺りから、徐々に疎遠になっていった。
介護施設を探す大変さも聞いてはいたのだが、私もその頃は母がまだ車椅子になっていず、
親身にはなれず聞き流していたのだ。
よく共に飲んだり食べたり映画に出かけたり、芝居を見たり、ジャニーズの子たちの楽屋に
遊びに行ったりしていたのだが、それもいつしかなくなった。
食事に誘うことも遠慮するようになり、そのうち私もいろいろとあって電話で最後に
話したのがもう5年前だろうか。

お母様にはお会いしたことがある。「万札で鼻をかむ人なの」とまりこちゃんは、そう評して
笑っていた。
華やかな方だった。まりこちゃんも働き盛りで暮らしは、豪勢だった。
貯金もさしてしてなかったと思う。
1カ月70万円の個室の入院費で、蓄えたお金が底をつきかといって仕事も出来ず、
という暮らしを漠然と察してはいたが、テレビで具体的に語られると胸をつかれる
思いをした。

私の知る華やかな女優藤真利子はそこにはいず、生活者としてのまりこがそこにいた。
きれいな子で、すっぴんも美しくずっとマイナス10歳の若さをキープしていた
まりこが、相応に年齢を刻んだ手を隠しもせず、全てをさらけ出しての介護記録だった。

そして、「私が殺した」と、まりこが泣く。何を食べさせる、どうすると在宅介護は全部自分で
決めねばならず、そういう意味で自分は主治医なのだと。自分が足りず、母を殺してしまったのだと
思いつめる。92歳の長命は大往生だと思うが、それでもママがひたすら好きだった娘は
自分を責めるのだ。

半端な慰めは、無用だと思う。

母親に虐待されていた娘さんたちからの、告白を非公開で頂く。
まりこちゃんのように母親が好きで、そして11年間という歳月を
女優の才能を捨てて尽くせた娘はしあわせではなかろうか。

天才的に芝居の上手い女優さんである。藤真利子にしか出来ない世界を
持っている人。魂の修羅場を経て、新たにどんな花を咲かせてくれるだろうか。
と言うのは、まだ早すぎて思いやりが薄いだろうか。でも結局、
まりこちゃんが生きる場所はそこだし、きっと再生も救いもそこにある。

テレビのオンエアの余波が冷めた頃、久々に電話して食事に誘って見ようと思っている。

お互いの絶頂期に華やかに付き合っていたのだが、共に相応に経験と年を重ねたぶん、
また違う深い話も出来るようになっているかもしれない。
飲んでいるうち、お互いキャピキャピしていた時代にワープするかもしれないし。

 

*誤変換他、後ほど推敲致します。

 


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