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Channel: 井沢満ブログ
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「シン・ゴジラ」と「君の名は。」の差

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日本アカデミー賞も、すっかり歴史ができてそれなりの

権威を持つようになりましたが、「日本アカデミー賞」などと

地方の「●●銀座」のような、卑屈な盗用呼称をなぜするのだろう、と

いぶかしく、当時岸恵子さんとテレビでの対談で喋り、

岸さんの大いなる賛同を得たことを思い出します。

その岸さんも、比較的早い時期に同賞を得たか、ノミネートされたか、

こそばゆいお気持ちでの、参加であったろうと思ったのでした。

さて、いわゆる大ヒット作と、質的に高い作品というその差を

説明しようとして、なかなか困難であるのですが・・・・

専門家たちが選ぶ授賞作品の中に、「シン・ゴジラ」の名はあっても、

「君の名は。」はありませんね。

「君の名は。」がそれほどひどい作品だとは思いませんが、

質が高い作品ではありません。

作画や音楽など、部分で秀逸ではあります。

私が首を傾げたのは、アニメとして存在する理由の希薄さでした。

アニメならでは、という説得力がないのです。別に普通の映画でも

成立する・・・・といえばニュアンスが伝わるでしょうか。

無論アニメならではの「雰囲気」はあるのですが、ジブリ作品の幾つかのように、

これはもうアニメでしか描けない、という世界に達していないのです。

アニメ対象の賞も幾つか逃しているようで、それは当然の結果だと

思います。

日本アカデミー賞でも、作品賞は逃し「シン・ゴジラ」でした。

主演俳優賞も得て、俳優が「単なる怪獣映画で、よもやの受賞」ふうなことを

言っていて、それは諧謔的謙遜でしょうが、「シン・ゴジラ」は単なる

怪獣映画ではありません。

「君の名は。」と決定的に違うのは、創る側の志の高さです。

監督がこれについて、「出来事をなるべく起こさない」ことを

心がけた、と述べています。

出典が今探せないでいるので、引用した言葉は正確ではありませんが、

これが「志」というものです。

何が、かにしてこうなった、という出来事追いの映画の浅さを

免れたのは、この監督の志のおかげでしょう。

出来事追いというのは、要するに「単なるオハナシ」で、

深めるための立ち止まりが作品にないのです。

それはそれで、「タイタニック」がいい例ですが、「興行」として

大勢の心を捉え楽しみを与えたのだから、それじたいを

けなしているわけではありません。「君の名は。」も同じく。

いい興行をなさったと思います。

余談ですが、助演男優賞を得た妻夫木聡くんのアカデミー賞での

スピーチ、「小学校の頃から、何の取り柄もなかった自分が」と

述べていて、思わず(その顔だけでも、大きな取り柄だべ)

とツッコミを入れたのですが、役作りのため恋人役の綾野剛くんとは

日常から、手をつないだりキスをしていた、というのを何かで

読んで、宣伝のためのでっち上げだと思い、しかし、いやあの

役者の狂気を持っている2人、やりかねない・・・・・と思い返したのですが、

スピーチで「ホテルに2人で、何週間かこもり、一緒に風呂に入ったりしていた」

と延べ、やはり事実だったようです。

申し訳ないけれど、妻夫木くんにはあの顔で私実は偏見を持ってしまっていて、

あんな、きれいな顔・・・が先に立って芝居を見たいと

思わなかった・・・・のですが・・・・某劇場前で局のプロデユーサーに

紹介してもらったこともあるのですが、全く関心外の役者さんでした。

それが、深津絵里さんを見たくて見た映画『悪人』で

妻夫木くんが役没入型の、いや役を自分の中に呼び込むことの出来る

狂気型の、仲良しの高嶋政宏くんもそうなのですが、役者だと

解って、俄然興味が湧き助演男優賞を得た「怒り」を観たのでした。

妻夫木くんは素晴らしい、本当に素晴らしい出来で感動しました。綾野剛くんも

芝居どころの少ない受け身の演技を黙々とこなしていて、この人も

狂気型だと思います。

古くは、楢山節考の老婆を案じるにあたって、自分の歯を全部

抜いてしまった田中絹代さん。

こういう役者が、私は大好きなんです。

万年、きれいな顔で何十年も、どんな役をやっても同パターンの下手な

演技を繰り返し、日常では「原爆許すまじ」的左翼活動を行っている

大根スターを私は大嫌い。

女優ではなく、映画のアイドルとしてずっとアイドルを続け、芝居も

出来ないのにここまで生き延びてきたそのことは、凄いなあと

敬服致しますが、作品をうっかり見てしまうとその下手さに悶絶します。

まあ、アイドルだから・・・・・。きれいなだけで、いいんでしょ。

妻夫木くんの顔で思い出すことがあるのですが、若き頃の草刈正雄さんと

仕事したことがあります。

ロケの合間の会話なんですが、

「井沢さん、おしゃれだねえ」と草刈さん。

「どうも」と答えた私に、草刈さんいたって生真面目な顔で

「俺は、おしゃれの感覚がないんだよねえ」

モデル出身なのに、それは事実でつかの間返答に詰まった

私に草刈さん、

「でも、おれは器量がいいから」

絶句しました。

なにかい? じゃあ、あたしは不器量を衣服でカバーしてるってかい?

と今なら軽く言い返すのですが・・・・

当時の草刈さんって、日本の美男の代表格みたいな存在。

ジョークがジョークとして聞こえず・・・・・いや、あれは果たして

ジョークだったのか?

単なる事実を、ご本人述べたに過ぎないのか・・・・とあいにく、天から

ずば抜けた美貌を授けられなかった私などは、惑乱するわけです。

 

 

*誤変換他、後ほど推敲します。

 


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